キャラなんてあってないようなもの〜クリスマス編〜


…ひっく

ひくっ…ぐす…


『どうしたんですか?』


べ、別に…なんでもない…


『なんでもないことないでしょう?そんなに泣いて』


ちがっ…泣いてなんかない!
これは雨だ!


『…雨は降っていませんよ』


う…


『…雪、降ってきましたね 通りで寒いと思いました ですが泣くほどですか?』


…!
さ、寒いのに慣れていないだけだ!
悪かったな…


『ふふっ そんな君もいいと思いますよ
で、どうして泣いているんですか?』


結局聞くのか…


『もちろんです』


…胸が苦しいんだ


『胸?狭心症ですか?』


断じて違う
けど胸の奥が痛い
とても苦しい
一人が…怖い…


『ほう…君らしくないですね』


どういう…?


『君は負けを知らない』





『恐れを知らない』


…"ズキン"


『全てに勝つことが当たり前』


"ズキン"


『弱い者に用はない』


"ズキン"


『ショウリコソスベテ』


…っやめろ!!!
やめてくれ…


『…これが君のスベテですよ?
それを"やめろ"と?』


…そうだ
これが僕のスベテなんだ
守らなければならない、当たり前の…
でも…でも…っ

それを考えると何故こんなに苦しいんだ…


『それが君の本音です』


え…


『君は"それ"に縛られすぎなんです
そのために周りから浮いているような錯覚に陥ってしまう
もっと君らしくいたらいいんですよ』


僕、らしく…


『笑いたい時に笑えばいい
泣きたい時に泣けばいい
たくさん喧嘩もしてぶつかりあって…
それで前に進めるんです
一人で我慢すること、ないんですよ』


…のか?


『えっ?』


我慢しなくても…いいのか…?


『はい
君の周りにも仲間がいるじゃないですか
想うようにしたらいいんですよ』


…!


『…そろそろ時間です
ほら、みんなが待っていますよ』


あぁ
最後に…お前は誰なんだ?


『僕ですか?
僕はーーーーーー』







ーーーーーーーーー
ーーーーーーー
ーーーー
ー…し君!

「赤司君、起きてください 雪降ってますよ!」
「え…」

むくりと起き上がると、目の前には色とりどりの頭が目に入った。
青と黄はコントローラを手に持ちながら、緑は眼鏡をくいと上げ、紫は朝からまいうぼうをもしゃもしゃと食べながら、起き上がった俺を見ている。

(そうか、昨日からみんなと泊まってたんだ)

「赤司寝すぎだろ ほら、早く昨日の続きしようぜ」
「次は負けないッスよ!」
「今度こそお前をバナナにはめてやるのだよ」
「みどちんそれ俺らにも被害でてレースになんねーし〜」
「赤司君」


「「「「「早く!」」」」」


ぽかんとしている俺に差し出す五人の手。
それは胸の詰まりを解くようで、どこか暖かく感じられた。

(そうだ…俺にはみんながいる…!)

「待たせたな…だが何人たりとも俺の前には行かせない!行きたければ俺を倒してみろ!」


俺には、仲間がいる。

たとえいつか敵になったとしても…


その時まで一緒にいたっていいよな






ありがとう
また会おう"テツヤ"





















『はい、また会える日を
Happy Birthday 赤司君』


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