久しぶりっ! (3/3)







始まった、後半戦。

さすがIH常連の王者だけあるというか、秀徳の優勢のまま第3Qは進んでいく。
相手側も必死に食らい付き、そこまでスコアに差が出なくなった第4Q。

…かと思えば秀徳のベンチからメンバーチェンジが言い渡され、出てきたのは緑間真太郎その人で。
彼の登場に辺りがざわめき出した。





「お、おい!緑間って」

「アイツ温存されてたんじゃねーのか!?」



つまり、キセキの世代の投入はこの試合には無いのだと思っていたらしい。
相手ベンチだけでなく観客にも動揺が見られた。

私は旧友の登場に喜びの表情を浮かべるも、それはすぐに引き締めることになる。
なぜなら今日は誠凛バスケ部のマネージャーとして視察に来たのであって、友人の晴れ姿を見に来たのではないからだ。







「………綺麗、」



スティールした味方からパスを受け、センターラインから危なげもなくシュートを放つその様は。
メモを取る手を止め、思わず見とれてしまう程だ。

漏れた呟きは歓声に掻き消されることになるが、瞳に焼き付いたその姿は褪せることはなく。
ノートを持つ手が、ふるりと震えた。



「(彼も……進化してる、)」



プレイする彼は最早自分が知っている彼ではない──そう感じた。

黄瀬君と同様に緑間君も遥かに強くなっているのを目の当たりにし、固唾を飲んで試合を見守っていると震える携帯。
確認すればカントクから「部活中には帰ってきてね」という催促のメールがきている。

移動時間も含め…時間的に、そろそろ帰らなければ間に合わないと気付いた私はコートに目をやる。



「……!」



すると刹那、コート内の緑間君と視線が交わる。
驚く私に対して彼はふっと口元を緩め、そして。





ピーッ!




ブザービーターが鳴り響くまさにその瞬間。

彼の放ったボールはネットに触れることなくゴールを潜ったのだった。







「───名前、コートで会うのを楽しみにしているのだよ」





彼は、不敵に微笑んだ。





next






/


back



「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -