実力ゥ? (4/4)







「さあ名前ちゃん!あのバカガミを5分で疲労させたあなたの秘密をどーんと話しちゃって!」

「バカガミ言うなっ…です!」

「あはは……」



何故か知らないが部活が中断された状態が続いている。

二年生も一年生も部員全員の視線が集中し、もはや苦笑いするしかない。
急かすカントクはキラキラと瞳を輝かせているし、集まる視線と期待からは逃れられないことを悟った。

ところで火神君の変な敬語は何なんだろうか…





「えーと…あの、秘密っていう程でもないですけど。……強いて言うなら、相手のプレイを制するのが私のプレイスタイルなんです」

「プレイを制する?」



復唱した伊月先輩を筆頭に、解らないといった表情の面々。



「はい。相手の動きを制するので、私はこれをリミテーションと呼んでいます」

「そんなことが出来るなんて…まさか…」



ざわざわと戸惑いだす皆。

その時、ガコンッという大きな音が響いた。




「よし!」

「よしじゃない!何やってんだバカガミ!」

「っいてェ!!」



手にしたボールを持て余していたのか、火神君がダンクをしたらしかった。
カントクからの一撃をくらってお腹を押さえているが。



「いいだろ…じゃないっすか。さっき外したのショックだったんで」

「外したって……ああ、名前とやった1on1の最初のやつか」

「それっす」



日向先輩の言葉に頷いてもう一度ダンクをする火神君。
ダンッ!と力強く決まったそのボールを見ながら、静かだった黒子君が口を開いた。



「名前さんのリミテーションは、当然火神君のプレイも制していました」

「うわっ黒子?!」



…日向先輩、驚きすぎじゃないのかな…。



「火神君が最初にシュートを失敗したのもそのせいです。その後は外しはせずとも、リミテーションの影響で体力の消耗をしていましたし」

「っ凄いじゃない名前ちゃん!!」

「っんぶ!」



ガバッと抱きついてきたカントクの肩に顔が当たり、鼻が潰れたみたいな痛みに顔を歪める。

尚も抱き締めるカントクはあろうことか更に力を入れてきた。



「強いのにこんな可愛いなんてっ!!」

「っか、カントク、苦し…!」





その後、見るに見かねた日向先輩が助けてくれるまで、私の鼻の痛みと苦しさは止まなかった。

……いつもありがとうございます、先輩。





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