実力ゥ? (2/4)









「それじゃあ、火神君と名前ちゃんはコートに入って」



キュッと響くスキール音。
久々に感じるタイルの感触。

ダムダムとドリブルをしてボールを手に馴染ませると、あからさまに溜め息をついた。



「あの…本当に、やるんですか?」



それに相手が火神君だなんて。



「もちろん!全力でやっちゃってちょうだい!」

「…、分かりました」



プレイを見たいというカントクの要望に応え、コートに立つ。
渋々ながらの展開だが、久しぶりに見据えたバスケコートに沸々と気持ちが高揚した。



「あの、火神君」

「何だよ黒子」

「名前さんの相手をするなら、覚悟しといた方がいいですよ」

「は?」

「ほらほら、早くコートに入る!」



黒子君が火神君に何かを話していたが痺れを切らしたカントクにより遮られていた。

…そして、既にコートに入っていた私の目の前に来た火神君はジャンプボール無しに先攻でいいと言った。



「いいの?」

「おう」

「ふうん……じゃあ、遠慮なく」



にこっと笑ってボールを持つ。



「火神ってば紳士だなー」



コートの外では先輩たちがそんな彼をからかっていた。

でもそれにかまう暇もなく、カントクが試合──というか1on1の開始を告げるホイッスルを吹いた。



「───始め!」





ボールを持ってドリブルを始めるとすぐに奪いに来る火神君。
あっという間に取られたボールは、彼によってゴールへと一直線。

彼の得意なダンク───なのだが。





ガコッ


「あり?」



リングにぶつかり跳ね返るボール。



「残念!」



リバウンドを取った私は不思議がる彼の横をすり抜けて直ぐ様シュートを放った。



「名前ちゃん先制点よー!」

「火神ィ!この距離でシュート外してどうすんだよ!」


カントクの歓声に先輩の怒鳴り声。



「おっかしーなァ…」



入ったと思ったのに。

がしがしと頭を掻いて呟いた彼に、くすりと笑みを漏らした。



「次、火神君ボールだよ」

「ああ。速攻で決めてやるぜ」



向かい合う二人。

試合は、まだ始まったばかり。










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