kmt short story



シーツに挟んだあいうえお



※バラエティのパロディです。
鬼殺隊とか鬼とかじゃないです。全員芸能人で番組をもっていたら、みたいなif話。女性陣会話のみ。夢じゃないです。



「さぁはじまりました、男女のあれやこれについて独断と偏見で好き勝手にガールズトークする恋愛バラエティ、今週も胡蝶しのぶと」「甘露寺蜜離とっ!」「名字名前でお送りします〜」

カメラに向かってしのぶちゃんから慣れた自己紹介を始める。3人でぱちぱちぱちーと胸の前で手を叩いてセットの皮張りのソファに腰を下ろす。

アナウンサーのしのぶちゃんは髪をサイドに流したスタイルと衣装のタイトめニットワンピとが相まってとても色っぽい。
みつりちゃんは女優さんで、ふわふわ のロングヘアーにワイドパンツと短めのトップスでスタイルの良さが際立っていた。わたしもスタイリストさんに流行りのフレア袖のワンピースを着せてもらえて嬉しい限りだ。

「甘露寺さん、映画観ましたよ〜!とっても素敵でした」
にこっと笑ってしのぶさんが、映画のチラシを胸の前に掲げる。先週公開になったばかりのみつりちゃんがヒロイン役で出ているアクションスパイ映画のもので、ダイナミックなポージングで、みつりちゃんが主演の伊黒さんと背中合わせで銃を構えたメインビジュアルである。私も何度もテレビで予告編を見ていた。

「やだ〜!しのぶちゃん観てくれたのね!うれしい!」
「えぇ、相変わらずアクションシーンが大迫力でしたね
伊黒さんはバラエティとか出演されててもクールなキャラですけど、やっぱり現場でもああいう感じでしたか?」

伊黒小芭内さんは若手俳優の中でも実力派として最近は映画に舞台にと大活躍だ。
今回はみつりちゃんと恋人役なので濃厚な絡みシーンもあったらしい。

「そうねぇ、あんまり休憩中とかも他の共演者の方とお話するよりは、音楽聴いてコーヒーを飲まれてたけど・・でもとっても優しいところがあってね、私が撮影の合間にすきな食べ物の話していたら差し入れに同じもの持ってきてくれたの!他にも、新人アイドルの我妻くんが今回はじめての殺陣だったから、本番までに練習に付き合ってあげたりしててね、とってもあったかい人だったわ」
「そうなんだ、演技も素敵だけど、優しい方なんですね。いいギャップですね〜みつりちゃんもしのぶさんもギャップはどうですか?けっこうキュンと来ます?」

「わたしは全然ありよぉ!きゅんきゅんしちゃう!」
「そうですね自分にだけ、っていうギャップは特別感があって意識するきっかけになったりしますねぇ。名前ちゃんは?」
「うーん、さっきの伊黒さんみたいなクールからの優しいはありですけど、大人の人って思ってたらすごい子供っぽいとこがあるとかは場合によってはいやかもしれない・・・」
「そうですか?大人だなーって人が負けず嫌いとかよくありますよ?」
顎に指を当ててこてんと首を傾げるしのぶさんは、仕草一つにも艶がある。

「そうなんだ・・・やっぱりしのぶさん大人です。私は年上の人って付き合ったことないから、幻想があるんだと思う・・・」
「「ないの!?」」
「え、ないよ?なんで?」
急に両脇の二人に大きく反応されてびっくりしてしまう。
しのぶさんもみつりちゃんももともと大きな目を見開くから、こぼれ落ちそうである。

「失礼、取り乱しました。 名前ちゃん、このまえパパラッチされてたじゃないですか。あの世界的な映画の芸術監督と・・・」
みつりちゃんもこくこくと頷いて興味心身だ。
しのぶさんの言葉で先週からワイドショーを騒がせてしまったことを思い出した。

「あぁ、宇髄さんですね・・完全にデマです、雑誌の特集でご一緒したあとスタッフさん交えて食事会行っただけなんです」
「なーんだぁ!そうだったのねぇ!私お似合いと思っていたからちょっと残念だわあ」
「でもちょっとあの私服でデート来られると、隣歩く自信がありませんねぇ」
「「たしかに」」
しのぶさんの言葉にみつりちゃんと2人でうんうんと頷く。宇髄さんは私服も衣装なのかと思うほどにとにかく派手なのだ。
それはもう、芸術的に。


「服とかヘアスタイルってはじめてのデートでどの程度でいけばいいか、迷うのよね〜それこそ宇髄さん相手だったら、めかし込んでいったほうがいいと思うけど、急に露出多いのもなんだかはしたないし、全くないのも可愛くないし〜困っちゃうのよねっ」
「甘露寺さんは胸も大きいものね」
「いや、しのぶさんもでしょう…」
私は知ってる、2人ともかなりのサイズであることを。

「まぁ胸の話は置いておいて…男性の服装でこれがすき、とかはあります?」

しのぶさんはスタッフさんのカンペを棒読みしながら、アイスコーヒーを飲む。このゆるく雑な話題転換がクセになると結構深夜枠でも人気があるのだ。

「似合っていればなんでもいいと思うけど〜ジャケットとかスーツ姿とかフォーマルな格好見るといつも以上にキュンとしちゃうな!」
「ありますねぇ〜髪型をワックスじゃなくてジェルで固めてるとかでも、キリッと見えたりしますもんね」
みつりちゃんの意見にしのぶさんとうんうん、と頷く。
「そうそうそう〜〜!」
「たしかに!先月のメンズ雑誌に載ってたアイドルの竈門くんのスーツ姿とかすっごい良かったよね」
いつもの元気一杯な竈門君とは一味違うスーツ姿のページはネットでも話題になるくらいの反響だった。
見た見た、とその場が一気に盛り上がった。
「男らしさが出るんでしょうね。カッコいい成分のみっていうか…あとそうですね、私は黒のスキニー姿も好きです」
「しのぶさん、分かります!シュッとした脚が私も好きです」
「えーでも筋肉も大事よ?」

筋肉かぁ、とみつりちゃんの言葉にしのぶさんと2人で腕を組む。
「胸筋とかは少し苦手です、なんかこう分厚いの」
「確かにねぇ腹筋は良いんですけどねぇ」
「なに言ってるのよ2人ともっ!筋肉には鍛え抜かれた肉体美が宿るのよ、ときめきだわぁ」
「甘露寺さんもジム通ってるものね、キンスタ見てますよ」
トレーニングウェアのみつりちゃんはそのメリハリの効いた美ボディを余すところなく見せてくれている。
「みつりちゃんの背中の写真すごい素敵だった、ねぇ、ちょっと触りたい!」
「きゃーうれしい!どうぞ」
ソファから立ち上がってくるりと背中を向けてくれたみつりちゃんの肩甲骨辺りをしのぶさんと2人で硬さを確かめるように触る。
お洋服越しでもわかる無駄のない引き締まった感触にため息が出る。
「素晴らしいですね、甘露寺さん」
「この背中の美しさを見るとわたしもトレーニングしないとって思う…」
モデルは誰より身体が資本だ。生活の全てが出てしまう。
「そんなこと言って名前ちゃんのウエストこんなに細いじゃない!」
がばりとみつりちゃん腰をガッチリ掴まれる。しのぶさんまで背中とお腹を抑えるので恥ずかしくなってくる。
「流石モデルさんですね、骨格から整っていますし歪みがない…」
「もうウエスト何センチなの?太腿くらいじゃないの?」
「何センチだろ、最近測ってないや…でもしのぶさんの言う通り、接骨院の歪み取りに最近行ったんです!効果ありってことですね!うれしい」
どこのお店なのかと2人が興味津々なのでスマホで2人にお店の情報を見せてラインで送っておく。こういう女子トークは撮影を抜きにしても楽しい。

「あら〜もう最後の話題だって、早いわ〜3人の最近の推しメンを教えてください」

みつりちゃんさミルクティーを飲みながらしのぶさんと同じく雑にカンペを読む。

「推しメンですか。なら若手モデルですけど嘴平伊之助くんですかね」
「伊之助様!最近よく紙面かざってるわね〜」
「そうですね、香水のイメージモデルのルックもとてもかっこよかったよね」
「そうなんですよ、私もあのブランドすきなので買い物に行った時に目に入って、それから最近よく見るなと。本当に経歴不詳の美少女のような美少年のなような…魅力的ですよね」
もちろん伊之助さんも素敵だけど、しのぶさんもミステリアスで魅力的だ。

「甘露寺さんの推しメンは?」
みつりちゃんは惚れやすいので、きっと推しメンはたくさんいるのだろう。目を瞑って悩む姿が可愛らしい。
「決めきれないけど、最近だと不死川ブラザーズにときめきが止まらないの!」
絶対それ、昨日のドラマ見たからだろうなぁと思う。不死川実弥さんと玄弥さんの兄弟俳優が主演の刑事ドラマ、こういうのみつりちゃんすきそうだもんな。
「エリートの兄と現場の弟の設定だけでキュンと来てるんでしょう?」
「うっ否定できないわ!」

「名前ちゃんは?」
しのぶさんの質問にうーんと悩む。テレビで言っても当たり障りのない人で、最近お会いした方いたかなと記憶を遡る。
「私は冨岡義勇さんかな」
あぁ〜と二人も納得してくれるほど冨岡さんは綺麗なのだ。
「とにかく顔が美しいんです、この前撮影ご一緒したんですけど近くで見ても毛穴無いんです!睫毛長くて鼻小さくて、本当に女子の理想に顔でした〜」
「わかります、あの男性にしては美しすぎる肌は女子の憧れですよね」
「よく映画監督が役者して欲しいって言ってますよ!画面がぶわぁ〜って明るくなるらしいです」
なるほど、役者にも転向してくれたら見る機会ももっと増えるだろうな。


「さてさて、今日の放送はここまで!
来週は〜!?」
「じゃじゃん、ゲストに女優の珠代さんがいらっしゃいます!」
みつりちゃんと次回予告をカメラに向かって読み上げて笑顔で手を振る。楽しい撮影はあっという間だ。

「「来週も、お楽しみに」」



続かない!

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