※キャラ崩壊注意!



「名前ちゃんに任せておけば天馬は大丈夫ね」

「名前ちゃん、時々天馬は暴走しちゃうかもしれないけれど……よろしくね」

今は違うところにいる天馬のお母様、寮母さんの秋さん、お元気ですか。あ、秋さんは元気だね。

此方はどちらも元気です。お互いに部活を頑張っています。

「おはよっ、名前!」

「お、おはよう、天馬、信助」

「おはよう!名前!」

相変わらず天馬は信助と仲がよくいつも二人で登校しています。
登校時はいつも時間が被るのか他の先輩にも会います。

「あ、数学の教科書忘れた!」

「天馬、何してんのさ。時間割りが違うし、貸してあげる」

「ありがとう、名前!これで怒られないで済むよ」

「おはよう、天馬、信助、名字。天馬、忘れ物はいけないぞ」

「おはようございます、神童先輩……どうしても俺、忘れ物をしちゃって」

「名字も甘やかしちゃ駄目だぞ。まるで保護者みたいだ」

天馬はよく忘れ物をします。いつも私がフォローをしますが神童先輩は厳しいです。
そして校門に着くといつも天馬は私の手を引っ張ります。予想はついてるんですけど。

「あ、ちょっと名前と話したいことがあるんで先に行っておいて下さい!ごめん、信助」

爽やかに笑顔を向けると皆は仕方がないなと言う風に去っていきます。
問題はここからです。彼はグイグイと人気のない所に私を連れていくと。

「あー、本当ムカつく。名前、キスさせて」

「ムグゥ!許可を取ってからしてよ!」

「名前は俺の恋人(ペット)だもん。いいでしょ?」

「幻聴聞こえたんですけど。」

「何が保護者だよ。ふざけんじゃねーぞ。」

「イラつくからって私を殴るな蹴るな!」

松風天馬は私の前だけでサディスティックな腹黒野郎に変わります。

私はどうしたらいいでしょうか。



◇◆◇



私の身体はいつも傷が絶えない。少しでも苛つくことがあれば天馬は幼なじみ兼恋人を殴ったり蹴ったりする。
決して嬉しいわけでもないし寧ろ悲しいんだけどこれで文句を言ったら更にやられると分かっているから言えない。
そんなチキン野郎だからこんな暴力を受けているのだ。

「あ、名字。少し頼みたいことがあるんだけど、いいか?」

「はい、霧野先輩。何ですか?」

「少し職員室に行って資料を取ってきてくれないか?音無先生の机にあるだろうから」

「分かりました」

サッカー部全員のを一人で持つのか、と少ししんどいなぁと考えていると霧野先輩があ、と言った。

「先に天馬に行かせたんだ。二人なら資料を持っていけるだろ?」


天馬、だと?


急いで私は走り、職員室に向かう。彼が今どんな状態か想像がつく。ただし、周りにいたら例外!

「…たくっ、ピンクの先輩パシってさ……ふざけるのは髪色だけにしろよ」

めっちゃ毒を吐かれてるー!!

近付きたくないけど後で言われても困るから私は近付き、半分もらう。

「名前……」

「私も、頼まれたの」

ふぅ、と息をつくと天馬は何故か私の手から半分くらい資料を取る。

「天馬?」

「俺だって男だし……何より彼女より持つ方が普通だろ?」

天馬が時々する優しさ。その行動に胸がキュンとなる。

いつもは腹黒でサドな恋人だけど根本は優しいからこんな行動もする天馬。
多分こんな彼だから私は惹かれたんだ。

「急に黙ってどうしたの?俺の話、聞きたくないの?(何無視してんだよ)」

彼には言わないけど。



◇◆◇



資料も運び終わり、今は部活動中。私は力仕事担当としてドリンクを運んでいた。
天馬の暴力によって私の身体が丈夫になったからね!受け身とか練習とかしていたら力がついたんだよ、多分。

「名前!それはベンチに置いといてくれ」

「はーい」

ドスンとドリンクを置くと私は違う仕事に取りかかろうとした。

「なまえ、危ない!!!!」

突然聞こえたのは天馬の声、刹那、聞こえた音は風を切る音。

そして音の正体の物体が肩に当たる。急すぎて痛みがなかった。
しかし、その衝撃に身体の方が耐えれずに私は倒れる。

「名前!大丈夫!?ねぇ、返事して!」

すぐに天馬が駆け寄ってきて、私の肩を掴んで揺する。肩は痛いから!止めろ!
遅れて痛み出す肩を今は無視し、頑張って口を開けて言葉を出す。

「だ、大丈夫……」

そして安心させようと笑う。ひきつったかもしれないけど。
すると天馬はすくっと立つと音の正体……ボールを蹴った犯人に近付く。

「剣城……覚悟出来てる?」

「て、天馬?」

かなりご立腹の天馬。いつも私以外にはほわほわしていて明るい天馬。
色で例えるなら黄色とか白とか明るい色や暖色系。

なのに今は。

どす黒いオーラを周りに撒き散らし、喧嘩を売れば殺されそうな勢い。
色で例えるなら全てを塗り潰すくらい真っ黒。

つまりギャップ差が激しい。

「俺の彼女を傷付けてんじゃねーよ!!例え剣城だろうが許さない!
ま、他でも許さないんだけど」

そしてニッコリと笑うと天馬は剣城くんを勢いよく蹴った。あぁ、人間ってあんなに飛ぶんだ。

「名前を傷付けたら、俺、怒りますから」

ニコッと皆に笑いかけると私に近付いてきた天馬。
私は天馬の腹黒が皆にバレてしまった方に心配していた。

「天馬……」

「何?名前」

バレたけど良かったの、と聞こうとしたら天馬にシーッと人差し指を唇付近でされた。

「俺、後悔してないから。寧ろこれで名前のことが好きって奴を排除出来たし?」

ね、と笑いかけた天馬。私は少し驚いたけど笑った。

「名前、大好き」

そのままチュ、と唇にキスを落とした天馬。相変わらず許可なしで。

「……二人とも、俺等がいるんだが」

神童先輩が気まずそうに言った。私はあ、と言うとババッと離れ…ようとした。

「別にいいじゃないですか。それとも先輩も、剣城みたいになりたいですか?」

「よし、皆違うところで練習を再開するぞ」

あ、逃げた。

そのまま皆は本当に違うところに行き、グラウンドには私と天馬だけ。

ジッと見つめると天馬も私を見つめ、口を開いた。

「皆にバレてもいいって言ったけど……原因はなまえだよね」

「……え?」



「責任、取ってよ」




そして天馬はフワリと妖しく笑うと私を抱き上げると(所謂、お姫様抱っこ)ある場所に向かう。

「え、ちょ」

「これでサッカー部ならいつでもキスしたり抱きついたり出来るね」

「そう言ってますが貴方はこれから何を」

嫌な予感がする。というかそれしかしない。
冷や汗をタラリと流すと天馬はピタッと歩くのをやめる。
場所は、部室。そして部員は入ってこない。

「決まってるじゃん。…さっきのことより上のこと」

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!ヘルプゥ!ミィィィ!!」

「そんなに叫ばなくっても。黙らせようか?」


どうやら私は一生彼に遊ばれていじられて…翻弄されるんだろうと思います。

嫌いならこっちが殴るなり蹴るなりしたらいいんだけど私にはそれが出来ません。


だって私はそんな彼が好きなのだから。


「でもそれ以上のことは駄目ぇぇぇ!!!お願いだからジャージを脱がすその手をどけて!」


その恋人腹黒につき。


(危険人物です)


(私以外、近付いてはいけません)


― ― ― ―

『Iris』の南瓜さんから10000hitリクエスト小説を頂きました!

まずは10000hitおめでとうございました!私からもお祝い文として低クオリティ過ぎるお話のプレゼントさせて頂きましたが、あまり大したお祝いができなくて本当にすみません(汗)

さて、南瓜さんのサイト様でフリーリクエストを実施されておりましたので今回も参加させて頂きましたー。
『自分の前でだけ腹黒な恋人の天馬くんに翻弄される』がリクエスト内容でした。我ながらなんという無茶ぶりな内容のリクを…

しかしながら、そんな腹黒可愛い天馬くんを南瓜さんは見事に可愛らしく素晴らしく書き上げてくださいました!!
天馬くんの豹変ぶりが何とも言えないです〜。めちゃくちゃ腹黒なのに資料の件で夢主ちゃんに見せた不意打ちの優しさに、また胸がきゅんきゅんしました。
何だかんだで天馬くんの扱いが上手いのと天馬くんに愛されてる夢主ちゃんが本当に羨ましい!私も腹黒い天馬くんを是非とも拝みたいです!でもって、弄られたい!!あ、べ、別に変態じゃないですよ!
剣城くんはとんだ災難でしたね(笑)とりあえず合唱ー←

今回も素敵なお話を本当にありがとうございました♪南瓜さんの書かれるお話大好きです!




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