一緒に食べるらしい
「中庭行くぞ」
「え?なんで」
「……弁当」
というわけで、ローくんにお弁当一緒に食べないか誘われたので、仲良く中庭で二人でお弁当食べることになりました。いえーい!まいふれんど!
……いや、なんで俺?
男二人とかさ、なんというか、むさくね?しかも二人だけか。 ローくんイケメンだから、女子誘ったら顔真っ赤にして黄色い悲鳴あげながらOKしてくれるでしょうに。なのに、何故男の俺なんだ? いや、誘われたの純粋に嬉しいけどね!
「なあ、他に誰か呼ばないの?」
俺が一応そう聞くと、ローくんは少し顔をしかめて「……呼んでほしいのか」と言って俺の方を見た。 いや、ためしに聞いてみただけだけど。
「んー、いや?聞いただけ。誘ってくれて嬉しい」
「……そうか」
あ、今、ローくんちょっと嬉しそう。 最近ローくんの表情がわかってきたわ。そんな嬉しそうな表情するなんて、やっぱり人見知りだから他人がいるのは嫌なんだろうな。たしかに、緊張するもんね。
というか、俺も少し安心した。
だってもし女子とか呼んだら、多分ローくんは女子に囲まれて俺はきっとボッチ飯状態だろうしな。 きっと、ローくんと俺の間に謎の見えない境界線ができるんだろう。 不思議と簡単に想像できる、その状況……!
──そう、例えばあの俺の愛しの天使とかいたら、ローくんを恥ずかしそうにチラチラ見て、俺のことなんてきっといない存在として………ああ考えるのやめよう、辛すぎるよ……! おかしい、こんなの絶対理不尽だ。顔面格差反対。
「……ナマエ……、お前ら何してんだ」
中庭に置いてあるベンチに腰かけた所で、丁度そんな聞きなれた声が聞こえ、俺は嫌な予感がした。 いや、なんでそんなドスがきいた声なんですかね。怖い。
ガクブルしながら、エースではありませんようにエースではありませんようにと、俺が恐る恐る声のした方を振り向く。 いや、希望は捨てちゃいけないんだよ。何事にも希望を持っていれば、いずれ報われるときはくるんだよ。
すると、やはりというかなんというか、そこには元気に犯罪者御用達の凶悪な表情をして立っているエースくんの姿が! 希望なんて無かった。
なるほど食堂のパン持ってるから、食堂から教室への帰りに中庭通りかかったんですね。俺ってば名推理! でもその偶然、すっごくいらない!
「え、え、エースくん、グッドイブニング!」
声が裏返りつつも俺がそう言うと、エースは「……今は昼だぞ」とだけ言って俺の隣に座っているローくんを睨み付けていた。
なんだろう、顔怖いんですけれども。 元ヤンの顔超怖い。というかなんでお前そんな機嫌悪いの。 あ、そういやエース、ローくん嫌いだったか。忘れてた。
「……なんで、お前ら二人が中庭にいるんだよ」
エースのその言葉に、ローくんが無表情で「誰が何処で弁当食おうが勝手だろ」と答えた。 いや、なんでローくんそんな火に油注ぐような言い方するんだよ! エースの目付き、また悪くなったろ。エースが視線で人殺せるようになったらどうするんだ。すっごい機嫌悪そうな顔してるぞ。
というか、エースみたいな不良っぽいやつが機嫌悪かったら、友人でも危機感覚える不思議。
「ナマエ、ちょっと寄れ」
「ん?」
エースがそう言ったので、取り敢えず言われた通りローくんの方に寄る。 すると、空いたスペースにどかっと不貞腐れた表情でエースが座った。 ……ちょっとまて、何故座るんだ。おかしいだろ。
「エース、え、ちょっとまて、お前もしかしてそれ、ここで食うの?」
「……いいだろ別に」
よくねぇよ!!
エースとローくんのタッグと飯食うとか、お前らなぜか超仲悪いじゃん、怖いわ。
しかも俺、二人に挟まれてるんですけど? なんで左右から殺気が放たれてるんですかね。わからない。 というか、俺を挟んで二人とも睨み合ってんじゃねーよ!やめろ!
なんだこのギスギスした修羅場みたいな展開。予想もしてなかったわ。俺にどうしろっていうんですか神様!
→
戻る |