過去の未来とか今とか
※長いだけでオチとかはない
俺の通っている高校は、一部柄が悪い奴やなんか変なやつもいるがまあ皆仲がよくなかなか通い心地がいい高校。 家からの距離もそんなに遠くはないし、歩いて登校できるためバス代やら電車代やらかからない。 いや、素敵な高校だと思うよ本当にさ。こんな高校が近くにあってよかった。なんか問題起こしたりするやつとかいるらしいけど、まあ俺には縁のない話。 あ、スタートに戻った。
「ナマエくん、何をしてるの?」
「おう、漠良か」
結構前に転校してきた、白い長い髪の男子が俺の机の上を見て不思議そうな顔をした。 こいつは漠良了という名前の、典型的な優男インテリイケメン野郎で何故かたまに俺につるんでくる。 あと、さっき説明した一部柄が悪い奴やなんか変なやつの部類に入るのだが、まあその辺はいいだろう。
「今な、自作の人生ゲームやってたんだ」
「……えっ、一人で?」
何だか漠良くんに酷く可愛そうなものを見る目で見られているような気がするが、なに気にすることはない。
その理由はなんとなくわかる。一人で人生ゲームとか頭おかしいとしか思えないよな。俺もそう思うわ。 一人でサイコロ振って一人でコマを進めて誰とも競争なんてせずに一人でゴールするとかね。悲しいね。 でも今流行ってるカードゲーム……なんだっけ?デュエルモンスターズとか俺ルール意味不明だったし、カプセルモンスター?カプモンとかいうのもワケがわからなかったし、今流行ってるゲーム全般全滅して理解不能だったから仕方がなかったんだ。しかしこの高校の友人はゲーム大好きでそれらに夢中だったり何故か登校拒否になっているため、俺は友人とつるむのが面倒になった。 友人の言ってることの大半意味わかんなかったぞ。 デッキと手札と墓地はわかる。しかし、何だ生け贄って。何だ融合って。特殊効果ってなんなんだ、なんで死者蘇生使ってないのに墓地から復活したりするんだ。俺もゲーム好きだが、そんな細かいことはよくわからん。
「笑いたきゃ……っ笑え……っ!」
「あはは、笑わないよ」
「漠良くんはイイヤツダナ……」
あははってなんか軽く笑われたような気がするが、まあいいんだ。泣いてない、泣いてないぞ俺は……っ!
「ねぇ、ボクも一緒にしていいかな?」
「ん、何を?」
「その人生ゲーム」
漠良くんが机の上の、俺の自作の人生ゲームを指差して優しく微笑んだ。
天使が……天使が舞い降りられたぞ……皆のもの、敬礼。
俺が漠良くんに向かって無言でどこかの軍隊の兵隊の如く敬礼すると、漠良くんは「えっ、どうしたの」と凄く不思議そうな顔をして俺を見つめた。
「超暇してたんだ……ありがとう漠良。 でもこの人生ゲーム、100回休みとかスタートに戻るマスが約九割を占めている恐ろしいデスゲームだから他のゲームやろう」
「そ、そんな人生ゲーム一人でやってたのナマエくん……」
そんな引かないで、泣いちゃうだろ。
あー、でも何のゲームやろうか。机の横に引っ掛けていたカバンを適当に漁ってみたが、何故か枚数の揃っていないトランプだとか、確実に外れないであろう知恵の輪くらいしか出てこない。あと菓子と、人物写真に必ず髭の落書きがある教科書かな。
「それで、なんのゲームやるんだよ」
俺が瞬きをした瞬間、なんとなく漠良くんの胸元が光ったような気がするが気のせいか。 あと妙に目付きが悪い。
ああ、もしかしなくとも彼のターンが来たのか。
「……ん?、んー漠良、なんか目付き怖いな」
「あ?なんだと?」
「ナンデモ、ナイヨ」
やっぱりこれは彼だろう。 まあ、要するにこいつが何故変なやつに部類されているのかというとその理由は、何故か優男インテリイケメン野郎だったのが急に、今のDQN暴力喧嘩腰野郎になるからである。 目付きとしゃべり方あからさまに違うんですけど……なんでみんな気がつかないの、怖い。学校の七不思議登録すべき。
「二人で出来るのポッキーゲームくらいしかないから、ポッキーゲームやる?」
「……」
「ふえぇ、漠良くんこわいよぉ……」
そんな怖い顔で睨み付けないでやってくれ。ほんのジョークだよ、ジョーク。
「チッ、仕方ねぇな……お前、デュエルはわかるんだよな」
「カードはあるけど、やり方は全っ然知らない!」
「……」
漠良くん、そんな目で見ないでくれよ。そんな時代遅れ野郎というような目で見られても、俺困るだろ。 小さく呆れたようにため息つかないでくれ。なんでカードゲーム知らないだけでこんな反応するんだよ。なんなの?流行なのトレンドなの?
「……教えてやる」
「……、……うん?」
よく聞こえなくて耳をすまして聞き返したら「だから、俺様が教えてやるっつってんだよ!」と怒鳴られた。 いきなりすぎて耳がキンキンして痛い。 というか、何これデレ?ツンデレ?ドキュン漠良くんにデレられてもあんまり嬉しくないような気がしなくもないが、ただ、教えてやるって言ってくれたのは純粋に嬉しい。
「マジで!?ありがとう漠良!じゃあ俺ブラックマジシャンガールすごく可愛いから使いたい!可愛いくて強い!」
「テメェ、やっぱり全っ然変わんねぇな……」
呆れたような表情で漠良くんが言った。 なんでそんな目で俺を見るんだよ!というか、やっぱりってなんだよ!ブラックマジシャンガール好きでもいいじゃないか別に。あの可愛さは異常。
その後、漠良と一緒にブラックマジシャンガール出るかなとワクワクしながらカードパックを買ったのだが、墓荒らしの報いってカードが出て漠良に報告したらぶん殴られた。何故だ。
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