ドフラミンゴのそっくりさん
※グラサンかけたらドフラミンゴのそっくりさん。多分本人じゃないとわからないくらい同じ。声も同じ。 ※主人公がなんかアホです。ギャグです。
目が日光に弱いため、超高級でオサレでイケイケなサングラスを買ってから、近隣住民だとか知り合いの様子がおかしい。 なにこれサングラス呪われてる?
「……」
いや、何がおかしいって、たまたま外出の際に居合わせたとき、パッと目が合ってこちらが挨拶しようとする前にうわ目が合っちゃった≠ンたいな顔をして皆そそくさと逃げていくのである。 というか外で会うと、知り合いどころか周りみんなこんな感じ。前まではそんなことなかったのに。なんなのこれ?嫌がらせ?なにこの子供みたいな嫌がらせ。
ああ、わかった。もしかしなくとも、俺のナウなヤングにバカウケでアバンギャルドなデザインのサングラスを妬んでるんですね、わかります。 買えないからって妬みでそんなことするなんて、酷いわ。
しかし、こんな三メートルレベルの身長のくせに、わりとメンタル面の方はなかなか弱い俺はそんな嫌がらせに耐えられなくて泣きそうになった。俺のプラスチック製ハートがボドボドだよ。
なんだよあの他人のフリ。せめて挨拶くらいはしてほしいところだ。というかしてくれ、頼む。心折れちゃうだろ。いや、むしろ謝れ。謝れよオラァ。俺は大いに傷つきました!
「何で、お前がここにいる」
そして今日、買い物の帰りになんかすげー怖い感じの、刀持っててよくわからない帽子かぶってる二十代くらいのニーチャンにそう話しかけられたので、内心引きつりつつ笑顔で「……何でだと思う?」と言うと、めっちゃ警戒されたように凄い勢いで少し距離をとられた。
えええ、何でそんな警戒されてんの?超怖い。
いや、というかさ、お前誰なの。 俺のこと知ってる風だが、俺はお前のこと全然知らんぞ。ちなみに見たこともないね。聞いたこともないし。 俺は周りと違って身長がかなり高いせいで友達できなくて、大抵家に引きこもってたせいでほとんど知り合いとかいない。しかも引きこもり生活のせいで、世間のこととか噂とか全然知らないんだぞこの野郎。近所の人くらいだ。
なのに、何でそんな俺のこと知ってるみたいな感じなの? もしかして夢で会ったとか?運命なの?赤い糸で導かれたの?ずっと前から好きでしたとか? なにそれ、引くわ。超引くわ。 まあ、俺が忘れてるだけの可能性も大いにあるけど。
「……連れ戻しに来たのか」
なんか怪しい怖い帽子のニーチャンは、警戒したまま俺にそう言った。
いやさ、連れ戻しにって、何処に。 というか、なんでだよ。
話が全くわからない。なにそれどういうこと。 お前、逃げてきたりしたわけ?もしかして、牢獄から? そうだな、お前見るからに怪しそうな感じがしないでもないもんな。犯罪者っぽい感じがする。事件とか犯罪のにおいがする。そうか、脱獄犯か。 それとも、ただの妄想癖の変なニーチャンか。できれば後者であってほしいんですけど。
「あー……そうだと言ったらどうする」
脱獄犯なら、取り敢えず自首しろ。怖いんだよお前みたいなのが歩いてるとな。なんとか説得とか無理かな。なんか無理そう。 そう思いつつ、引きつり笑いをしながら買い物袋を握りしめる俺に、なんか怖いニーチャンは「……俺はお前の所には戻らねぇ」と、俺を怖い顔で睨み付けて苦々しくそう返した。
……? いや、俺の所に戻らないって、は?
なにそれ、俺の所?お前、俺ん家にいたっけ。 いや、絶対にいないよね。間違いなくいないわ。だって俺、お前なんか知らんしな。確実に初対面だわ。 というか、お前みたいなの家に住み着いてたら超怖いっつーの。カーチャンに告げ口して家から閉め出すレベル。
なにこれ、話が噛み合わないんですけど。 どうしよう、 最近の若者すげー怖いよ。 俺何もしてないのに睨まれてるし、お前の所には戻らないとか、なんかよくわからん話についていけないんですけど。意味がわからない。理解不能理解不能。 というかこれ、もしかしなくてもまさか妄想癖が強い人?俺、絡まれてんのか。
なんなの、最近の若者って皆こんな感じなの?
「……っ?」
そうやって色々と考えて頭が混乱していると、なんか腕が軽くなったので自分の腕を見た。
腕がとれてた。
……は?
「……ぅ、」
う、う、う、腕がとれてる?
血出てないけど腕が完璧にとれてる。 痛みないけど、とれてるわ。それはもう切り口も綺麗にスッパリと。 な、なにこれどういうこと?何が起こってる。切れたよ?切れたよ?
ああ、でも、まあ一つ確かなことがあるよね。これはさ、まあ、あれだよね。
死んだね。
トーチャン、カーチャン、こんな息子で本当ごめん。 でも、今度生まれ変わるときは、せめて二メートルくらいの身長がいいな。だってこの島の人、皆がみんな高くても二メートルくらいの身長だし。 あと、顔はすごいイケメンがいい。目の前の変な帽子のニーチャンよりイケメンがいい。せめてもの慈悲で目の前のニーチャンに顔くらいは勝ちたい。
人間って、とんでもない危機に陥ったら逆に意味不明なこと考えるんだな、そう、なんか変に頭の隅で冷静に考えつつ、すると俺の体がバラバラとだんだん崩れて── しかし、本当に不思議なことにやはり痛みは全くない。
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