黒い海に沈む

※結構内容酷い。誰得
※ルフィの原型は見無です。性格真逆
※主人公が鬱、暗い、口悪い
※エース死後。救いがない
※何でも許せる人向け


世の中クソだ。
しねしねしね。全員しね。まったく、生きてるやつ全員殺す兵器でもできないもんか。自分もろともこの世界が崩壊なんて、それは俺にとって幸福以外、何者でもないだろう。だって俺は、自分自身も含めて人間も世界も全部大嫌いだ。

なーんてな!うそうそ冗談!俺はこの世界が大好きだ!
こんなクソみたいな大航海時代も反吐が出るし、海なんて見たくもないし、仲間達も大大大嫌い!あー馬鹿みてーだ。しね。

「まあ、嘘だけどな!」

「ナマエ、何か言ったか?」

「いや?なにも言ってねえ!」

聞いてきたチョッパーに、にっこりと笑って俺はそう答えた。それはどうしようもない嘘の塊の作り笑いだったが、チョッパーは少し不思議そうな顔をすると「そうか?」と呟いて何も疑いもせずに俺から視線を外す。

こういった作り笑いは、意識しなくとももう癖になってしまっていた。楽しくもないのににこにこ、にこにことまったくもって反吐が出る。

もう何だかわからない。
何で俺、大嫌いな海の上にいるんだろう。もう海なんて見たくもないのに。なんで、船になんて乗ってるんだろう。
なんで、海賊なんてしてるんだろう。もうワンピースなんてものに興味なんて微塵もないし、欲しいとも思ってないのに、なんで海賊王になるなんてほざいてるんだ。俺が今欲しいものは海賊王の称号ではなく、無くしてしまったものだ。
だからここにいたって、意味がないのに。帰っては来ないのに。

「……俺、なんのためにここにいるんだ?」

そう呟いたのが聞こえたのか、ウソップがぎょっとした顔で俺を見た後「おい、本当にどうしたんだナマエ」とこちらを心配しているように言う。
それが聞こえたのか、他のクルー達もこちらを気にして俺に視線を向けてきた。

「んー?ああ……いや俺ってさー、ここにいていいのかなーとか思って……」

「何バカなこと言ってんだ。お前がこの船の船長だろうが」

ゾロがそう言って、その言葉に皆が同意し頷く。

そんなこと言うなんてあんたらしくないわね、熱でもあるんじゃないの、とナミに言われ、チョッパーが俺のおでこに手を当てたが別に熱でも病気でもなんでもなかった。

当たり前だ、これは身体的な病気じゃない。心の病気だ。
まあ、心の病気といっても、恋の病だとかそんなピュアなものではなく、ただの拒絶反応にも似た精神病だった。全てがどうでもよくなる病気。
気が付いたら精神まで蝕んでいて、心が修復不可能なまでに粉々に砕けていた。
まあ結局の所、あいつの死が受け入れられなかったのである。俺が死ねばよかったとすら思った。それでよかったのに。どうして俺だけのうのうと生きているのか。あいつは俺に生きてほしかったのかもしれないが、俺はそんなことは望んでいなかった。

「……そうだよな!俺、なんか変だった!今のは気にすんな!」

にこりと皆を安心させるように笑う。
あー、しにたい。しにたい。むしろしね。しねしね皆しね。海に沈め消えろいなくなれあああああああ駄目だ駄目だ。俺はそんなこと思いたくないのになんでなんでなんで。

クルーの皆が、何事もなかったかのようににこにこ笑う俺を見て、今日のナマエは変だな、まさか変なものでも食ったんじゃないのか、とつられて笑った。

そうだ。今日の俺は少し変なだけなんだ。きっと明日になったら、明日の俺は、きっと、

×××

本当は、わかってたんだ。もう、元に戻らないってことくらいは。夢に向かって真っ直ぐだった瞳は、もう濁りきってなにも映さない。心も真っ黒で歪んでしまった。口から出るのは思いと反対の偽善ばかり。
今の俺にはもう、この帽子を被れる権利なんてない。

俺は机に、被っていた麦わら帽子を置いた。
そして“今までありがとう”と書いたメモを横に置く。

本当はこんなことは、仲間の皆に相談すべきなんだとは思う。しかし、こんな酷く醜い自分を仲間に見てほしくなかった。知られたくなかった。
皆の中では、俺は“馬鹿正直でお人好しでひたすら真っ直ぐなやつ”で終わりたかった。それだけ。

夜の風は酷く冷たい。
真っ暗だ。皆寝てるんだろう、甲板には誰もいない。

俺は船の柵に足を掛けた。下は海で、今日はなかなか波が荒れている。落ちてしまえばひとたまりもないだろう。

ああ、これで終わるのか。
あいつが守ってくれた命を無駄にすることは本当はしたくなかったが、もう限界だった。もう無理だ。

「さよなら」

俺はそのまま真っ逆さまに、その黒い水の中に落ちた。

ずぶずぶと沈んでいき、力が抜けていく。しかし、怖くはない。あいつの元に逝けるのだ。何を怖がることがあるのか。

冷たい海の底には何があるのか、俺はまだ知らない。



×××

エースが死んで壊れたという設定……のはず。

なんとなくこの後、主人公補正で死なずに記憶喪失になった所を敵キャラに拾われる→敵キャラの仲間になる→仲間との再会というゲス極まりない展開を考えたのですがあまりに酷すぎるのでボツ。


 
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