かわいいはせいぎ!

今日も可愛いエースをじっと見ていると、視線に気がついたエースと目があった。
俺がにっこりと笑いかけると、困惑して戸惑った表情をして目をそらす。そんなところも可愛らしい。

「エースちゃんウフフ」

「ナマエきもいしね禿げろ変態」

こんな弟に対して酷いことを言うのは、隣にいるマルコである。歳のわりに可愛いしゃべり方をするやつだが、何故か俺に対しては口がすこぶる悪い。
あと、今は機嫌もすこぶる悪いようだ。怖いね。

「あのさ、何でお前そんな機嫌悪いの?視線で人殺せそうだぞ」

「……そんなことねぇよい」

そう言ったマルコの顔は、やはりというかとんでもなくしかめっ面だった。機嫌悪すぎて怖い。ガクブル。
でも俺は別に、マルコの機嫌が悪くなるようなこと言ってないししてないんだが。なんなの?エースちゃんウフフも言っちゃダメなの?

そんなことを考えていると、マルコがしかめっ面のまま口を開いて言った。

「ナマエは、何でエースがそんな好きなんだよ」

「えっ、俺?」

口を開いてまた罵倒でもされるのかと思いきや、そんな予想外のことを聞かれて驚いた。そうか、そういえばマルコにも言ってなかったか。

「……強いて言うなら……性格も容姿も可愛いところとか強いし格好いいし優しいし可愛いし可愛いし笑顔が可愛いし甘やかしたいしペロペロしたいしペロペロしたいあああああペロペロしたいくんかくんかしたいエース可愛いよエース可愛い下着くれパンツくれ!」

「変態は土に還れ」

「そっちが聞いてきたのにひどい」

ちょっと妄想が口から漏れただけでこれだよ。理不尽すぎやしないか。

そして、今の俺の叫び声が聞こえたのか、エースが驚いた表情で俺を見るとそそくさと速足で行ってしまった。
ああ俺の癒しが!天使が!

「エースちゃんカムバック!」

癒しを逃がすまいとそう叫んで俺がエースを追いかけようとしたところ、何故か横にいたマルコに思いっきり手をガッという感じで捕まれ防止された。
カムバックキャンセルとか酷すぎる。

なんかマルコって、俺がエースにすることほとんど防止してくるよね。
なんなの?そんなにエースに俺を近づけたくないの?変態はエースに悪影響なの?エースの貞操が心配なの?やだ、正論すぎて涙出てきそう。

「何だマルコ!俺はエースちゃんを追いかけなければならないんだ……!」

そう言ったら、マルコは少し驚いた表情をして渋々といったように手を離した。


×××


最近ナマエといると、どうしてかイライラする。
きっとあいつが変態だからに違いない。最近のあいつは、いつにもまして口を開けばエースエースエースで、エースのことばかり。
しかも内容は下着くれだとかペロペロしたいだとかパンツくれだとかそんなものばかりだ。
そんな姿のナマエを見ているとイライラする。一緒にいるときくらい、別の話題はないのか。

「お前、それ嫉妬だろ」

サッチは、そんなことを当たり前のような表情で言ってのけた。

「……こっちは本気で悩んでんだよい」

エースに嫉妬なんて、しかもナマエに構ってもらえないからだとか。そんなことがあってたまるか。

別に俺は、ナマエがエースと付き合ったって、結婚したって、別になんとも思わないはずだ。
……本当に、そうだろうか。

「だから、ナマエがエースのことばっかり言ってるからイライラしてるんだろ?」

「……ああ」

小さく頷いた俺に、「やっぱり嫉妬だろ」と楽観的な意見。
わかってよかったな、といったようにサッチは笑った。
ただ、それと裏腹に現実は深刻だった。

嫉妬。
たしかに、ナマエとエースが付き合ったりなんてしたらイライラするどころかショックだし、絶対にないと思うがもしも結婚なんてしたら、身が引き裂かれるような思いを経験する、ような気がする。
それに、ナマエがエースのことばかり考えているのはムカつくし、よく話題に出しているのを聞くとイライラする。もっとエースばかりじゃなく、自分も見てほしいと、思う。

たしかにこれはどう考えてもエースに「嫉妬」しているのだろう。言われてみれば、そうとしか思えない。

「……俺は、ナマエのことが好きだったのかよい」

そう呟くと、サッチが一つ間をおいた後「え、今さら気がついたのか」とかなり驚いた表情をして言った。
なんだよその反応、と思っているとサッチが今度は少し笑うと続いて口を開く。

「ナマエの世話やいたり一々気にしたりして、それ端から見るとバレバレだったぞ」

「……」


 

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