これもまあ日常


ばりばり、ばりばり。
ばりばり、ばりばり。
ばりばり、ばりばり、ばりばり。

「……おい」

じろり、とそんな鋭い視線が向けられ、ナマエは何事かと視線をサカズキの方に向けた。

「あー……なんだよ」

ナマエを睨むサカズキの表情は、いつにも増して眉間にシワをよせ、不機嫌なのを隠そうともせずにナマエを凝視してきていた。
その様子から察するに、ナマエがサカズキを怒らせているのは誰から見ても明白である。
しかし、いったいなんだというのだろう。会議にもきちんと出席しているし、サカズキの話も一応聞いている自分が何故睨まれなければいけないのかがわからない。

「……それはなんじゃあ 」

「あぁ?せんべいだよ。見りゃわかんだろ」

ばりばり、ばりばり。
ばりばり、ばりばり。

そんな音を立てながらナマエがせんべいをまた一枚食べると、何故かサカズキの眉間のシワが増えた。
別にどうでもいいけど、そんなにシワ寄せてたら消えなくなるぞ。そんなんだから強面老け顔になるんだよ。ナマエはそんなことを思ったが、口には出さなかった。いくらふざけていても、そこの所は一応弁えている。


しかしながら、サカズキがそんな表情になるのも無理はない。
今は海軍本部で七武海の会議の真っ最中だった。

そんな中でばりばりせんべい食ってるナマエが非常識といえば非常識なのでサカズキの反応は最もなのだが、もはや今は皆ナマエのそんな行動に慣れてしまっているため、口に出すのは最近大将になったサカズキくらいのものである。慣れって怖い。

「いい加減食うの止めろ。うるせーんだよ」

「うわ、クロコダイルまで。俺はただせんべいを食べていただけなのに……」

酷いわ、俺とは遊びだったのね!と、意味のわからないことを言って泣き真似を初め茶化してくるナマエの頭を、クロコダイルは流れるような動作でひっぱたいた。
そして、慣れたように能力でせんべいを粉々にして砂にする。手順が慣れてきているのが恐ろしい。
しかし、それを何の反応もせず見ている周りの連中もなかなかに酷かった。

「クロコダイルちゃんひでぇな。まあ、仕方ねえから今度からはせんべいじゃなくてビスケットにしといてやるよ」

「殺すぞ」


そうして、何事も無かったかのように会議が再開される。

 

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