かけるさでぃすてぃっく
※まさかのロー×夢主 ※夢主受けです。夢主受けです ※何でも許せる人向け ※時間軸不明
「ナマエ」
「……」
いや、なんだこの状況。
あ、ありのまま、今起こっていることを話すぜ。 "俺は自室で酒を飲んで寝た後、目が覚めたら何故かローに押し倒されていた。"
な、何を言っているのかわからないと思うが、俺も何が起こっているのか理解不能だ。頭がどうにかなりそうなんだが。 催眠術だとか、酔っぱらってたとか、そんなチャチなもんじゃ談じてない。もっと恐ろしい、ホモの片鱗を今味わってる。
いや、というかローってホモなの?嘘だろ。聞いてないんだが。お前ノーマルだろ。 というかなにこれ。は?なにこれ。なんだよこの状況。事故?
「ロー、何をしてる」
「……起きたか」
ローくんはそう言って少し驚いた表情をした後、眉をひそめて舌打ちした。
ねぇ、今舌打ちしたよね。何に対しての舌打ちなのかなローくん。俺に対してだよね絶対。なんだコイツうぜぇ。 殴りたいこれは殴るしかないよね。うん殴る。
そもそも、何で俺がお前に押し倒されないといけないのか。 今度やったら、俺がローくん押し倒して泣くまで頬殴り付けてやろう。その後亀甲縛りにして鞭で打ってやる、サービスだ。君が泣いてもSMプレイをやめない。
そんなことを思いながら俺が、ローくんの頬に綺麗な右ストレートをお見舞いしてやろうと右腕を振りかぶったところ、ローは俺が拳を頬に叩きつける直前に俺の拳を掴んで防止してきた。 ……は?……え?
「……」
声も出ない俺を、ローはいつもは見ない悪巧みしたようなニヤリとした笑みで見下ろしていた。
え?な、なんだこいつ。どういうことだ。 いつもなら余裕でローの左頬に頬に入るはずが、何で簡単に受け止められなきゃならないんだ。訳がわからない。 もしかして、殴られ過ぎて俺の行動パターンとか拳が飛んでくるタイミングを把握してしまったのか。なにそれ怖すぎるんだが。俺殴りすぎだろ。 まあ、頬に痣ができて、不貞腐れたような表情でガーゼ貼ってるローが可愛すぎるから仕方がない。殴ったとき涙目になってるローとかも可愛すぎる。痛みに耐えてる姿とか見ると、可愛すぎて更に殴りたくなる。 というか、今の表情すごく殴りたい。
「……」
「ぅ、ひっ、ぐ….っ」
ローに首元を舐められて心臓がはね上がった。 うひいええええええええ。な、何だ、何でだよ、お前俺の胸元に顔をうずめるな!
なんだこの状況怖すぎる。 え?掘られるの?俺、本気で掘られるの?というか俺が掘られる側なの?体格的に逆じゃないか。いや、疑問を持つべきはそこじゃない。思考回路がなんか色々とおかしい。
いやーローくんに後ろを開発されるアーッ。どうせなら俺がローをMに開発したい。 いや、違うそんなアホなこと思ってる場合じゃない。洒落にならないんだが。
混乱しすぎて変なこと考えるし、なんか意識朦朧としてきた。ロー顔近いんだよ。案外可愛い顔してるじゃねえかちくしょう、ってそうじゃねーよ馬鹿野郎。
「……ロー、や、やめろ」
「……ナマエ、」
甘えたような声で名前を呼ぶなああああっああああ。なんかちょっと可愛いとか思っただろうが!ふざけんな!
これでいつもなら、その熱に浮かされたような顔が殴ったらどんなに歪むのかとか考えるのだろうが、残念ながら今の俺にそんな余裕はない。
なんか、ここで今さらながら危機感を覚えはじめて、ちょっと体が震えてきた。なんで俺がローに蹂躙されてんだよ。おかしいだろ。 しかし、起き上がって体制を立て直そうにも上にローがいるため起き上がることができない。力が入らないんだが、なにこれ詰んでる。 俺、ここでローに殺されるのか、もしかして。 なんなの?俺の選択肢にはローに掘られるか舌を噛みきるしかないの?人生詰んでるじゃねえかいい加減にしろ。
「ナマエ、ナマエ、好きだ」
「……は……や、やめ、っ、」
真っ直ぐに俺を見つめてローが恥ずかしそうにそう言ってきて、俺に口づけた。なんだコイツ顔赤い、そんな恥ずかしいならやめろ。というかなんだこれ上手く息が出来ない。 なんなんだ。これどういう状況なんだよ。泣きそう。 頭の中がくらくらして意識も朦朧とする。しかもなんか顔が熱い。ああくそ全部ローのせいだ。
「っ、俺は、そんなことするローは、きらいだ」
俺がそう言うと、何故だか途端にローは酷く傷付いたような、打ちひしがれたような表情で俺を見つめた。
ああ、その表情は案外いいな、なんて思ったが、そもそもそんな表情するくらいなら押し倒すなキスするな。 というか、どう考えてもキスはないだろキスは。いや押し倒すのもおかしいけど。お前俺に何を求めてるんだよ。
ローが泣きそうな表情になったところで、なんだか無性にその頬をぶん殴りたくなったので、俺を押さえつける手が緩まった所でありったけの力を使い右ストレートで殴り付けた。 そこで視界が暗転した。
「……夢か」
酷い目覚めだった。 なんか酷い夢を見たような気がするが、悪夢だってたまには見るだろう。
それにしても恐ろしく目眩と吐き気がするが、どうやら二日酔いらしい。部屋に酒瓶が散乱していた。
いつもはこんなにも飲まないが、たしか昨日、ローが親しげに知らない女と話してるのを目撃して無性に腹が立って飲みまくった、ような気がする。 リアルに充実しやがって。爆発しろ。というか、なんで俺そんな妬んでんだよ。
「……ナマエ」
小さく控えめな声が聞こえてその方向を振り向くと、何故か目を少し腫らして左頬にガーゼを当てているローが視界の端に立っていた。いつからいた。
「なんだ、ロー……どうしたその頬は」
左頬にガーゼ。ローの頬を殴るやつが俺の他にも……だと……!? 何処の馬の骨だそいつは。まさか昨日の女か。絶対にゆるさん。
「……ナマエが殴ったんだろ」
「そうだ、俺が殴ったんだった」
……ん? え、いや、俺殴ったか? なんだよそれ全然記憶にないぞ。ここ数日はお前に構ってないし、話もほとんどしなかったし、殴らなかったと思うが。
でもローの頬ぶん殴るのって俺くらいだし、ローもそう言ってるし……?え、なんだそれ怖い。もしかして俺、記憶飛んでる?ロー殴ってなかったから無意識でぶん殴った? まじかよ。どんだけロー殴りたかったんだよ。
「殴って悪かったな」
「……、ぇ」
俺が謝ると、ローは凄く驚いたような表情で目を見開いて俺を見た。なんだ、そんなに俺が謝るのは珍しいか。 ……珍しいな。そうだな。ローは普通の反応だったわ。
それにしても、ロー殴らなかったら無意識にロー殴るとか恐ろしいな。病気かよ。俺のドSそこまで来てるのか。もはや病気の域な気もしないでもないが、まあローがいれば問題ないので深く考えないようにした。というか二日酔いで頭が痛い。
ローに水をくれと言うと、なんだか焦って混乱したようなおかしな表情をして水を取りに行った。 なんであいつあんな狼狽えてんだ。
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