さでぃすてぃっく


※ローがボコられてる
※ローの扱いが結構酷い

「さんをつけろよデコ助野郎」

そう言って俺を呼び捨てにしたローを思いっきり殴り付けると、面白いくらいの勢いで吹っ飛んでいった。
そして数秒して何かが破壊されるような音がローが吹っ飛んでいった方向から聞こえてくる。
多分、壁かどっかに当たったのだろう。今日も絶好調である。やっべぇ、ローいじめるの超楽しい。


「ナマエてめェ……!」

ローは予想通りどこかの壁にでも激突したのか、少し埃で汚れた姿で戻ってくると、すぐ俺を睨み付けてそう言った。また呼び捨てかよこいつ。全然わかってないな。

まあ、たしかにそんな簡単に折れてしまうよりも、そうやって生意気に口を聞いてくれた方が虐げがいがあるし、そもそもローにさん付けにされたら気持ちが悪いのでこれでいいとはいいのだが。俺的には。
しかし、こいつはこの行動が逆効果だとわかってやっているのだろうか。

「なんだ、ただのドMか……」

俺ドSだから!よかったね相性いいよ!
とか今世紀最高の皮肉を言ってやろうかと思ったが、今は虐げるのが楽しいので心の中にしまっておくことにする。

でも、一応これは打たれ強くなる修行だからな。
決して俺がローをボコりたいだとか、涙目になっている姿が楽しいだとか、むしろローに鞭を打ってみたいだとかろうそくを垂らしてみたいだとか亀甲縛り似合いそうとかは思っていない。思っていない。
あ、亀甲縛りいいな。

というか、ドフィは戦闘中にでも技失敗して自分の糸で亀甲縛りになったりしないのか……なったら嬉しいんだが主に俺がな。

「──っぐぉっふぇ!?」

急に軽く視界がブレて、脳震盪が起こった。
どうやら、自分の武器で身動きがとれなくなる、というところに普通に縛るよりもエロスを感じるとか思って妄想していたら、ローに一発貰い今度は俺の方が壁に叩きつけられたらしい。

油断してたせいもあったが、あんな簡単に一発もらうなんて、妄想は怖いな。あと地味に痛い。

頭を強打したせいか、視界がブレて頭がぐわんぐわんする。

「……」

これは、もう二発分くらい生意気なローくんにお見舞いしてやらなければならない。

俺はドSだ。そうやって生意気な態度の方が燃えるというものである。
というわけで、きっと「ざまあみろ」というようなすっごく生意気で腹のたつ表情をして、地面に倒れる俺を見ているのであろうローくんに、思いっきり腹パンしてやろうと意気揚々と立ち上がった所。

「……ロー?」

ローが寂しそうな表情で俺を見ているのに気がついた。

──え、なんだその表情。

いつものくっそ生意気で顔面ぶん殴りたくなるような表情は?

今のローはまるで、蹴っても殴っても何も言わず涙目で我慢する人がするような表情だった。


うわ、萎えるぞそれは。無理だ。そういうやついじめるのは俺は無理だ。
俺は、ちょっとやそっとじゃ折れなくて生意気で打てば響くようなやつをいじめたいのである。打ったら簡単に折れるような奴はNG。つまり今のローはNG。

俺がそんな感じですっかり戦意喪失した所で、ローが小さく呟いたのが聞こえた。

「……ナマエは、そんなに俺の事が嫌いなのか」


「んー……あぁ?」

いや、別に嫌いなわけではない。むしろ好きな方である。だっていじめがいがあるし、楽しいし。
そもそも俺は嫌いだったら殴りすらしない。

「別に嫌いじゃない」

「なら!何でそんなに殴ってくるんだよ……!」

“だって、涙目になってるロー見るの楽しいからな!”
とか言うのは多分駄目だろう。
やっぱ嫌いなんじゃねぇか!とか言われる未来が見える。
えっ、じゃあ何て言えばいいんだ?

「ローのことは嫌いじゃない」

虐げがいがある的な意味で。

「……嘘だろ」

「嘘じゃない。好きだ」

「はっ……!?」

まあ、好きなのはお前の泣き顔だけどな!

あと涙目の表情もいい。苦痛な表情もいい。歯を食いしばって涙目で痛みを耐えつつ睨み付けてたらパーフェクト。
今度鞭でも買ってこようか。ろうそくも追加。ついでに頑丈な紐もな。

そんなことを考えていると、何故かローが恥ずかしそうな表情でこっちを見ていた。なんだお前。

なんかムカついたので、妄想もそこそこにローに向かって思いっきり拳を振り上げ地を蹴った。

 

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