世界の法則が乱れる
※オリキャラ視点
「これ、だけ?」
私はただ、唖然とした表情でそう呟く。
横にいるルフィが「どうしたんだ?」と聞いてくるが、その言葉に答えるほどの余裕がない。それくらいまで焦っていた。 だって、そんなことはあり得ない。あり得るはずがない。
「あの、超新星ってその人達で全員ですか?もう一人いないんですか?」
「ええ、これで全員よ。どうして?」
シャッキーズ・ボッタクリバーの店主、シャクヤクさんが不思議そうにそう聞いてきて、私は言葉に詰まった。
これで全員。
キッド海賊団船長のユースタス・キャプテン・キッド 殺戮武人キラー 魔術師バジル・ホーキンス 海鳴りスクラッチメン・アプー 怪僧ウルージ 大喰らいジュエリー・ボニー 赤旗ディエス・ドレーク ファイアタンク海賊団船長のカポネ・ギャング・ベッジ
そして、ルフィとゾロ。
私は、所謂トリッパーというものだった。
もともと、この世界とは別の世界から来た異端者。いるはずがない人間。しかし、だからこそ私はこの世界のことを一方的に知っていた。次に何が起こるかや、どんな敵がいるのかもルフィの周りのことなら大抵知っている。 私は全部読んでいたのだから当たり前だ。この世界は──なのだから。
そしてここ、シャボンディ諸島で何が起こるのかもわかっていた。
だからこの知識を生かし、この世界の人達を、大好きな人達を幸せにしてあげたいと思って、私はルフィの海賊団と出会い一緒に旅をすることにした。
そしてそれから今まで、私の知識が覆されるようなことはない。全て知っている通りに進み、そして救える限りの人は救ってきた。
──だからこそ、だからこそこんな予想外の事態が起こって混乱しているのだ。
11人の超新星。 前生きていた世界でそう呼ばれていたであろう人達。 一人、二人、三人……やはり、何度数えても10人。 当たり前だ。私はどうしてか理由を知っている。
「トラファルガー・ロー……──死の外科医、トラファルガー・ローという人は知りませんか?」
「トラファルガー・ロー?なんだ、ナユカの知り合いか?」
「いや、知り合いってわけじゃないけど……」
私のトラファルガー・ローという言葉に、シャクヤクさんは少し考えた後「いいえ、そんな名前の海賊は知らないわね」と首を横に振った。
知らない? じゃあ、そもそもハートの海賊団は存在していない?
死の外科医、トラファルガー・ロー。 ハートの海賊団船長。オペオペの実の能力者であり、11人の超新星の一人。ルフィを助けてくれていずれ手を組むことになる重要人物の一人。その彼がいないなんて。 この先、彼がいなければ大変なことになるというのに、そんなまさか。
「死の外科医……なんだか物騒な名前ですね。どんな方なんですか?」
ブルックがコーヒーを飲みながらそう聞いてきた。
「死の外科医なんていうけど、海賊にしては優しい人だよ」 「おー!いい医者なのか?」
「そう、だね」
いい医者だと聞いて嬉しそうなチョッパーを横目に、私はどうしようもない不安に襲われていた。
彼がいないのは、やはり私のせいなのだろうか。 いるべきではない存在の私が、知らないうちに彼が海賊にならない事態を招いてしまったのだろうか。
しかし、どんなに考えても心当たりなんて思い当たらなかった。
××××× 簡単なオリキャラ説明 名前:ナユカ 知識持ちトリップ主。性格は真っ直ぐで困っている人を放っておけない。すごくいい人。
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