医者を夢見たお医者さん


俺の前世は、普通の学生だった。

しかも、将来何人もの命を救うお医者さんになることを夢見るハードコア人生。

どうして俺のような平凡な学生が、医師になることを目指したのかといえば、たしか幼い頃に重病を患い、死にかけの所を凄腕の医師に助けられその人に憧れたんだったと思う。いわば命の恩人なのだから、憧れてしまうのは仕方がない。

しかし、たいした才能もない俺が医師になんてそうそうなれるわけもない。
医師になるなんて、学年で成績一位や二位を取るくらいの実力でないとまず無理だ。

だがしかし俺は、どうしても、どうしても医師になりたかった。だから名言「天才は1%のひらめきと99%の努力」という言葉を旨に、凡人でも天才になれるんだということをわからせてやるため、毎日毎日勉強に励んだ。


──そして、勉強しまくってあと一歩の所で過労死した。
ははっワロス。

それで知ったんだが 「天才は1%のひらめきと99%の努力」って99%の努力が大事って意味じゃなくて、1%のひらめきがないと努力は無意味って意味なんだってよ。ほんと、一本とられたよちくしょうめ。


そんな感じで、もう何も信じられないと目の前を真っ暗にした俺に、神様が慈悲をくれたのかはわからないがまた俺を人間に転生させてくれていた。

なんと前世の医師学詰め込んだ記憶と一緒に。

やっぱり、あの猛勉強は無駄じゃなかったんだよな!
勉強するために、友達も恋人も作らなかった俺の苦労は報われた。これが強くてニューゲームってやつか。
なんか前世の世界とはまるで違うが、医者になれればなんでもいい。

「というわけでドフィ、俺の病院建ててほしい。医者になる」

「お前がいい子にしてたらな」

お金有り余ってるくせにそんな無慈悲なことをいう、俺の目の前のこの人は、ピンクでサングラスの俺の上司?にあたるおっさんのドンキホーテ・ドフラミンゴ、略してドフィである。
ここドレスローザの国王で、皆からは若とか若様とかドフィって呼ばれてるぞ!
あと身長でけぇ。

あ、おっさんとか言ってるけど、俺はちゃんとこの人を敬っているし敬意があるし大好きだから、そこのところは誤解しないでほしい。
なんせ、ドフィのお陰で医者になれたのである。感謝しないはずがない。それに、欲しいものなんでもくれるしな!
でも何故か病院だけは別のようだ。なぜだ。

「いい子にしてるじゃねーか!」

「フッフッフ」

怒鳴ってみても、ドフィーは笑うだけで何も言わない。
いい子にしてたらと言ったが、俺いい子にしてるじゃん。言われた任務とかちゃんとこなしてるだろ。なぜ駄目なんだ。

せっかくこの世界にある、なんかよくわからない能力が手に入るという伝説の悪魔の実の一つ、オペオペの実を食べたのだ。
前世にはこんなのなかったな。ここファンタジーRPGみたいな世界なんだろきっと。魔法はないみたいだけど。
それにしても、オペとか……医者志望の俺にぴったりの能力だ。これは運命と言わざるをえない。神経使うけどいろいろできて凄く便利だし。

これはもう、そうだここに病院を建てようと決意し、お願いした矢先にこのドフィの断固たる態度。何故駄目なんだ。

抱きついて精一杯お願いしてみても却下だった。いつもはこれで大抵なんでもくれるのに。ドフィいつも俺に甘いじゃねぇかよなぜだ。お金も宝石も地位もくれる。あいつを消してほしいといえばすぐ消してくれるじゃねえか。

「ドフィー大好き大好き大好きだから俺に病院くれ」

「フッフッフ、却下」

なせだ。

 

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