食欲には勝てないようだ
作戦から一週間後、トラファルガーくんと話すことが増えて、結構仲良くなることができました。イエーイ。
というか仲良くしてて思ったんだが、案外トラファルガーくんはいいやつだということに気がつきました。 教科書忘れたら見せてくれるし、勉強教えてくれるし、ノート見せてくれるし、授業で先生に問題当てられたら答え教えてくれるし、あとこの前なんか高そうなクッキーくれた。超うまかった。 餌付けされてんじゃねえとかエースに言われたけど、でもこれは餌付けじゃなくてトラファルガーくんいらないクッキーくれただけだし。餌付けじゃないよ。残飯処理だよ。
「なのでクッキーとかもしあまってたら下さいね!」
そう期待せずにトラファルガーくんに言ったら、なんか無言で弁当箱を差し出してきた。 いやなにこれ。
「作ったんだ」
「いや、え?トラファルガーくんが作ったの?」
ええ?なにこれ愛妻弁当?
俺が状況が飲み込めずに焦っていると、トラファルガーくんが「……残り物で作ったんだよ」と言った。
「なるほど残飯か、なら仕方ない!」
「お前、ハンバーグ好きだよな」
「うん!ハンバーグは昔から好きだよ!」
わーい!ありがとうトラファルガーくん!と言ってもらってしまった弁当は、言っていた通りハンバーグが入っていて凄く美味しかった。誰だ俺がハンバーグ好きなの言いふらした奴は。 というかこれ本当に残飯?本当に残飯でいいの?残飯にキャビアかけても残飯だけど、美味しかったら残飯でも俺は全然OKだよ。いつもの食堂のパンが嘘のように上手いんだけど。いやもちろん食堂のパンも美味しいけどさ!
××××
「馬鹿だろお前!徹底的に餌付けされてんじゃねぇか!」
エースに話したらそう怒鳴られた。もう、なんでこの友人は血の気が多いんだよ。
「だから餌付けじゃない!残飯処理だこれは!」
「何が残飯処理だ!思いっきり餌付けされてんだろ!物につられてんじゃねえよ!」
物につられてるなんて、酷いぜ俺はそんなに尻軽じゃないのに。
はあ、とエースは大きなため息をついた。 というかコイツ、放課後いつも俺のところに来てるけど暇なのか。まあ部活してないらしいし家帰ってもすること無いんだろうな。
「ねえ、エースくーん」
「なんだよ気色悪い」
甘えるように腕に抱きついたら気色悪いって言われた。今日はいつもよりツンツンしてる。酷い。
「わたしー帰りにコンビニのアイスが食べたーい」
「……勝手に買えばいいだろ」
猫なで声で話しているのもあって、俺を見るエースの目が冷たい。いやんエースさんのいけず。
でも結局嫌々ながらもコンビニのアイス奢ってくれるエースさん太っ腹です。
「わーいエースくん大好きー!惚れてまうやろー!」
「結局俺も餌付けしてるじゃねーかよ……」
「え?なんか言った?」
そう聞くとエースは「いや、何も言ってねェ」と言って首を横に振った。 そんなことよりアイスうめぇ。やっぱアイスはヒエヒエくんソーダ味だよな。
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