しつこいやつは嫌われるようだ

「なあトラファルガーくん!何してるんだ?」

「トラファルガーくん!一緒に昼飯食おうぜー!」

「トラファルガーくん!ここの問題わかんないから教えて!」

「トラファルガーくん!トラファルガーくん!」




「トラファルガーくーん!トラファルガーくんってさあ!」

「……お前」

俺はただ気軽に話しかけただけなのに、何故かトラファルガーくんに呆れたような目で見られてそう言われた。
何故だ!俺はまだなにもしてないのに!聞こうとしただけなのに!

「いやんトラファルガーくんから話を切り出すなんて珍しい。どうかした?」

俺が取り敢えずそう聞くと、トラファルガーくんは少し眉間にシワを寄せた不機嫌そうな顔で「お前、俺と話して楽しいか?」と聞いてきた。

えええ、いやいや急にどうしたし。

あ、そうか。
最近俺が急にトラファルガーくんにことあるごとに話しかけ始めたから、なんか気味悪がってる……というか違和感があるのか。
まあたしかに、全然話さなかったやつに急にしつこく話しかけられたらなんか変だと思うよな。

「んー?まあ普通に楽しいけど?退屈ではないなー。トラファルガーくん口数少ないけど、話さない訳じゃないし」

「……」

「まあ、俺が勝手に話しかけてるだけだから気にすんなよ!」

そう言って俺は笑ったが、トラファルガーくんはなんか微妙な顔をして黙った。いやん、おもいっきり気にしてる。

まあ、トラファルガーくんってなんか人と距離置くタイプっぽいもんなー。自分の領域に入ってきてほしくないみたいな意思があるというか、なんというか。
だからか、トラファルガーくんがこのクラスの奴等と仲良くしているところを、俺は見たことがなかった。話してるとこならあるけど。

俺の中の記憶で、このクラスでのトラファルガーくんは大抵本を読んでいるかノートをとっているかだ。お前ボッチじゃねえか!さみしくねーの!?と思ったが他のクラスに友達はいるっぽいし、多分自分から話さないだけなのだろう。
まあ、いるよなこういうやつ。
俺が小学生のときにもいたわ。近付くなオーラ発してて皆と溶け込めずにいたやつ。俺は空気読めないから、ずかずか話しかけてたけどさ!そしたらだんだん話してくれるようになって……今となってはいい思い出だ。

「……お前、それ」

「ん?」

俺が筆箱から取り出したシャーペンを、トラファルガーくんは少し驚いたような表情で見ていた。

「ふふん、このシャーペンに気がついてしまったようだな……」

俺はフッフッフ!と笑ってシャーペンを得意気にくるりと回して見せる。どや。ペン回しが中学のとき流行ってめちゃくちゃ練習したんだよ!そしたら俺でもできるようになった。もう流行ってないけどね。ちくしょう。

「お前、そのシャーペンどうした」

「小学生のとき、友人が誕生日にくれたのであった!」

俺がそう言ってビシッとトラファルガーくんにシャーペンを向けると、トラファルガーくんは「……そうか」と一言だけ言ってシャーペンを眺めていた。

まあそうなるよな、こんなシャーペン珍しいし。
俺が持っているシャーペンは、中に水が入っているように見える世にも奇妙なシャーペンだった。
小学生の一年生くらいだったころ、当時仲の良かった友人にこの珍しいシャーペンをもらったのである。

「それ、ずっと使ってんのか」

「うん、そうだよ。なんだかんだで使いやすいし!お気に入り!」

ふふん、トラファルガーくんはかなりこのシャーペンが気になるらしい。あげないけどね!
というかあげられないわ、人からの貰い物とか。失礼すぎるだろ。


 

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