「あんた……、本当にモモの助?」

 幼馴染の光月モモの助がなんと、しのぶの能力で大人になった。身長は伸び、髷の黒い髪も長く靡いている。強靭な体で、逞しくなっていた。お父さんである光月おでんと瓜二つ。

「まだ疑うのか?名前。中身は子供だが、拙者は歴とした大人の男。ワノ国の将軍でござる!」
「……凄い違和感」

 広い床間で、ルフィ達が休息してる間に私はもう一度確認していた。あの泣き虫だったモモの助が、こんな姿になるとは予想外。声変わりもしていてもう別人だし、身長を抜かれた私は見上げてる状態。

「ねぇ、名前もお風呂入るよね?」
「えっ、あ、ああ、うん。入るよ」
「どうしたの?挙動不審で。あっ、もしかして名前、モモの助くんに惚れちゃった?」
「はあっ……!?」

 ナミと話していたはずのヤマトが、ニヤニヤしながらひょっこり出て来た。思わず大きな声を出すと、注目を浴びる。勘弁してよ。

「あー、ごめんごめん。惚れ直した、のか!」
「う、うるさいヤマト!私はいくら将軍になったからって、幼馴染に……、年下に興味ないのは変わりないよ!!」
「あらら。振られちゃったね〜、モモの助くん」

 気まずい空気にモモは「そ、そんな事より早く風呂だ!風呂に入ろう!!」と、促していた。本当にお風呂は久し振りだ。勿論私は女湯で。日和に、ナミとロビン、菊、おトコ達と一緒に入るのだが……。ヤマトの姿がない。嘘でしょ。やけに賑やかな男湯。この状況だと、おでんとして男湯に?信じられない。

「全く……。何も巻かずに素肌を晒すとは、ヤマトに恥じらいはないのか」
「やっぱりヤマトはそっちに入ったんだね……」
「お、おお。名前か……。ヤマトの行動は理解出来ぬ」
「一生おでんになりきってるからね……」
「それで、名前達の方はどうだった」
「私も大勢のお風呂は久し振りだから、楽しかったよ」
「そうか。なら、良かった」

 廊下でお風呂上がりのモモと行き合って会話するものの、話題がなくて行き詰まる。長い髪が濡れているからか益々、水も滴るいい男、になっていた。

「お主のおろした髪は初めて見たかもしれぬ」
「えっ。そうだった……?」
「うむ。それに、良い香りがするのは何か付けておるのか」
「な、何も付けてない。出たばかりだし、ただの石鹸じゃないの」
「……名前。拙者は8歳で、まだまだ子供だが、これでも将軍。カイドウがいない平和な国になっても、お主や皆を守りたい」
「えっ……?」
「幼き頃から、好いていた」

 誰もいないと思われる、大浴場の廊下で大きな体のモモに抱きしめられた。こんなところをみんなに見られたら、どうするの。

「馬鹿なの。私、年下には興味ないって言ったよね」
「あ、ああ、そうだ。名前は拙者なんかに」
「もう!気付いてよ。あれは誤魔化してるだけ。逆に、いいの。私なんかで」
「え、あっ、も、勿論……!名前の父、"錦えもん"にはまだ話しておらぬがこの後……」
「きっとお父さんもお母さんも許してくれる。将軍だし、長い付き合いだからね」
「もっと相応しい場所があるはずなのだが……、ここで告げよう。名前は、拙者が幸せにする」

 まさか城内にある大浴場前の廊下で告白をされるとは思ってなかったけど……、正直嬉しかった私は温かい腕の中で、直様うん、と頷いた。今のやり取りを隠れていた一味と女子達に見られていたとは知らずに……。
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