春色とホワイトデー
ハートや水色の内装。
イベント毎に商店街は綺麗な催しをしていて、思わず心がわくわく弾む。
「ひんやりエリアも、とても素敵な催しになってるわねぇ〜」
莉子はそう言いながら、頬を上気させてラウのお店に入った。
「ラウちゃん、こんにちは〜!」
「こんにちは。…莉子さんは今日も元気ですね」
ラウが無愛想に言う。
それが何となく嬉しくて、ラウの側に近づいた。
「はぁい!お姉さんはいつでも元気よぉ〜」
ラウの手をギュッとして、ニコニコと笑う。
いつもの事なのだが、莉子が定期的に顔を見せる事をラウは不思議に思いつつ聞く。
「莉子さん、今日は何の御用ですか?」
「ラウちゃんに会いに来たのよぉ〜」
「私に、ですか?」
「そう!チョコ渡しに来たの〜」
そう言うと鞄の中から水色の袋にラッピングされた、ホワイトチョコクッキーを渡す。
「ありがとうございます。…でもホワイトデーですか?私は何も渡してないですが」
呆気に取られたようなラウに、うふふ、と笑う莉子。
「いつもお世話になってるから」
無愛想に見える彼女と和やかな莉子の表情は対照的で、周りからみたら不思議な光景だ。
「それにしても、可愛い催しになってるのねぇ〜」
莉子がキョロキョロと辺りを見回す。
厚めの布生地の洋服だけでなく、薄手のものも入ってきているのは、季節の変わり目だからだろうか。
早めの春を感じて、何処か嬉しい気持ちになっていると、仕事熱心なラウが「イベントごとには乗らないと、ですから」と言う。
「そうねぇ。デート、ってなるとオシャレもしたいしねぇ。あ、そういえば」
莉子が頬に手を添え、周りを見る。
「エプロンが欲しいのだけれど、何かあるかしら〜。ふ、と思ったのだけれど、ホワイトデーの日にエプロンを着ようかなぁ、って思ったのよ〜」
「それでしたら」
言われてすぐに、ラウがパッと動く。
いつ見ても早いその行動に莉子が感心していると、何着か選んできてくれたようだ。
「莉子さんは青とピンクならピンクのイメージなので、色は暖色系で揃えてみました」
「さすがラウちゃんねぇ〜。ありがと〜」
莉子がじーとエプロンを見る。
「これにしようかしら〜」
これなら来年のバレンタインにも着れるだろう、とハートのポッケのエプロンを選ぶ。
「チョコのお礼にプレゼントします」
「いいのよ〜!お店のもの、毎回貰っちゃうの申し訳ないし、このスカーフもお気に入りなんだから〜!!」
首に巻いてるスカーフラウがふ、と目がやる。
心なしか嬉しそうな表情をしてるような気がして、莉子はふふふ、と笑った。
「じゃあ、他にも春のお洋服もお買い物していこうかしら!」
春色とホワイトデー++++++
おぼろさん宅のラウちゃんレンタルさせて頂いて!こっそりシニヨンも合わせちゃったり、を描きたくて、挿絵な感じにしました。
女の子同士の絡みはほのぼの可愛い!!
レンタルさせて頂き、ありがとうございました!!
2016/03/30