白黒モノクローム
太陽が昇り、平凡な日常が始まる。
彼はいつものように服を着替え、息子が用意した朝食に向かおうとした所だった。
「父さん、大変だ!!!」
その息子がすごい勢いでドアを叩き、飛び込むように扉を開ける。
「なんだ、騒がしい」
静かな朝を好む二人には、何とも似つかわしくない朝だった。
「姉さんが……」
「もう縁を切った」
「姉さんが、事故で亡くなったって」
遠くの方からマメパトが手紙を届けたと、彼の息子が言った。
白黒モノクローム
急いで電車を乗り継ぎ、バスに乗り、準備を済ませて恐る恐る式場へと向かう。
そこには確かに娘の顔と、結婚を反対した男の姿、それから小さな男の子の姿があった。
(わしが身元不明のこの男との結婚を、認めれば娘は生きていたのだろうか)
そう思いながらそっと、手をあわせる。
小さな形式だけの葬式に、心が痛みながら会場を出ようとした頃。
涙ぐむ小さな喪主が目に映る。
それは娘によく似た優しい顔つきの娘だ。
おぼつかない足取りで少女に近づく。
「嬢ちゃん、名前は?」
やっとの事でそう言うと、彼女もやっとの事で答える。
「…りこ」
++++++
彼は自分と息子以外に身寄りがなく、誰も引き取らないであろう彼女を引き取る事に決めた。
事故から一人で生き残ってしまった彼女は、急に思い出して泣いては彼の息子に抱きついた。
(祖父は扱い方がわからなかった為、息子に任せたのだ)
それから数年して、穏やかに笑う彼女を見て祖父は思う。
「笑うようになってくれて良かった。どうか幸せになってくれ」
++++++
莉子のパパママの話まで書くと長いのでアレですが、身寄りがない父(パパは記憶喪失の状態で、莉子ママに会う)との結婚を反対したら、ママとパパは駆け落ちして…って感じなので、そこから縁がない状態だったのですが、一応緊急連絡先として莉子祖父の家にしてたら、連絡行ったよ!が前提の話。
すごく説明文っぽい感じになってしまった&莉子より祖父目線っぽいので、消すかどうかが悩みますが、とりあえず此方に載せておきます。
(書きたかっただけなのでポイント換算はお任せします)
2016/03/18