私の居場所
養蜂場に休みなんて存在しない。
祖父は叔父や仲間と共に、毎日、蜂の巣箱を覗いている。
いつも寡黙で多くは語らない祖父が、莉子は大好きだ。
「おじいちゃん!」
休憩中の祖父にギュッと後ろから抱き着く。
周りの従業員は、ハッとして莉子の祖父を見た。
まだ7歳になったばかりの少女と、強面の大男。
大きな声で怒られるのではないか、と、周りがハラハラしているのを余所に、祖父は表情一つ変えずに莉子の頭を撫でた。
「おじいちゃん、莉子にも何かおてつだいさせてほしいのぉ」
そう言うと莉子は、キラキラした目で見つめる。
祖父はトントン、と二回座っている椅子の隣を叩いた。
莉子は嬉しそうに祖父の膝の上に座る。
祖父は一回目を見開いた後に、穏やかに微笑んだ。
いつもすごい形相で怒られている周囲は絶句した。
「……こんな親父見た事ねぇんだけど……」
実の息子ですらなんとかそう言いながら、二人の顔を見た。
「ねぇ、おじいちゃん!おてつだいは〜?」
莉子がもう一度言うと、祖父は
「これが一番のお手伝いだ」
と言って微笑んだ。
私の居場所おじいちゃん、だいすき〜!
++++++
莉子の過去話。完全に趣味の詰め込んだ物体ですね、分かります。(強面の祖父と幼女の組み合わせは大好物)
ちなみに祖父も叔父もリングマ♂
2016/02/12