それからいつの間にか

【告白の10年後】

「ただいま」

給料は安いけれど
・疲れすぎない
・面倒な人がいない
・残業が無い
そんな俺の理想の職場から帰り、ドアを開けると美味そうな匂いが漂ってきた。

「おかえり」

嬉しそうに出迎えるのは、10年来の恋人であり、そして俺の飼い主だ。
自宅が職場な彼はいつも俺の帰りを夕飯を作りながら待っていてくれる。
詳しい仕事内容は、ちょっとややこしいらしく面倒なので聞いていないが、俺とは違って結構な稼ぎがある。
それで今2人で住んでいる家賃や光熱費なんかを始めとする生活費は彼の財布から出されている。

働いているには働いているので、決してヒモでは無い。
そう言い聞かせながら俺は毎日を……いや、時々思い出す程度か。
どっちかといえば、俺は彼に“飼わせてあげている”んだから当たり前。と思っている方が強い。
そんな感じで毎日を過ごしている。

何故恋人の他に、飼う・飼われるという関係になったのか。
彼に飼い主という2つ目の肩書きが出来たのは、付き合い始めて数年経った頃だっただろうか。
その辺りまで遡る。正確な年数など覚えていない。
付き合い始めた日だけはちゃんと記憶しているから、それで十分だろう。



 
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