エイプリルふーる




「では某はこれで」

『あ、うんバイバイ。また明日(微笑)』


アンタは
俺には見せたことのない顔で笑う
そのたび胸が疼く

そんな笑顔にさえ可愛いと感じる
惚れたら負け…か。


「さて、お姫様帰りますよ」

『佐助、今日は速かったね』

「いつもと変わらねぇぜ??」

『そう?』

「それは旦那と喋ってたからだろ」

『えっ見てたの??そうかも…///』


その照れた顔も俺のためにはしてくれない
今の俺は"幼なじみ"のこの関係を壊せない−臆病者−


「俺らもとうとう三年だよな」

『うん、みんなと過ごせる最後の一年』

「卒業しても俺は苗字の側にいてぇんだけどさ」

『…当たり前じゃんうちら幼稚園の頃からずっと達じゃん、これからも(ニコッ)』

「−もし俺が苗字のこと好きって言ったら?」


姫の顔が雲っていく
わかってた。
アンタは優しいから俺のために沢山考えて悩んでくれる

そんな哀しい顔、俺には結構こたえる


『なーんてな、4月1日エイプリルフールだよ。苗字は簡単に騙されんね』

ちゃんと笑えてるかな

苗字の顔に安堵の色が見える
それはそれでこたえんね…


『…実は私、宝くじ当たったんだ。しかしも一億円』

「嘘だろ(即答)」

『Σなんでわかんの??』

「苗字は嘘付くの下手だからな(笑)」

『もう!!佐助のばか(怒)』

「はいはい、負け惜しみかい」


この親友のポジションだけは誰にも譲れない、俺には壊せない。


(本当は気付いてる、でも佐助と離れたくないから答えを出せない。卑怯でゴメンね)









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