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『ホント笑っちゃうよね(笑)』





『ついに歩けなくなっちゃたよ』






もとから体が丈夫な方ではなかった

毎年、季節の替わりめに高熱を出したりもした

だから私には外で遊んだ記憶がほとんどないに等しい

そのたび周助はお見舞いに来てくれてた
周助とは小さな頃からずっと一緒にいる。いわゆる幼なじみ



いつも毎日のように病院に通って来てくれる。そんな優しい周助が私は大好きなんだ
なにより私の手を握っていてくれることが嬉しいんだ




今回もいつもの熱だと思ってた

でも

退院予定日が一週間延び
半月延び

いくら経っても退院日は訪れない

気が付けばあれから半年



車椅子なしでは移動することが出来なくなった


どうやら私は思った以上に重い病に侵されているらしい
回りの皆は何も教えてくれないけど




「僕がヒメコの足になるよ」

『どうやって?』

「クスッ…移動する時はお姫様抱っこしてあげるていうのはどうかな?」

と微笑みながら私の手を握ってくれた

『ありがとう///でもお姫様抱っこは遠慮しときます(素)』

「そう?遠慮しなくていいのに」


いや、丁重にお断りします
でも目が真剣なのは気のせいですか?

それに、本人は気付いてないけど
周助がお見舞いに来てるときは心なしか病室の人の出入りが多い(女性を中心に)

もしそんなことをしたら…
刺の篭った視線が私に降り注ぐから(恐)


『私の手をこうやって握っていてくれるだけで十分だよ』


その手の温もりがあればこれぐらい何てことないから












あれから季節は巡り
あんなに青かった景色は
紅葉をおえとても質素なものになった


奪われていく色彩


私の体も
あの落ち葉のように衰え
朽ちていくの??


追い打ちを賭けるように
私の世界から光りが奪われた

心に悲哀が満ちていく

どうやら私は心底神様に疎まれているようで、私から全てを奪う気なんだろう
それも


ゆっくり

ゆっくり

苦しめて

命を削っていく








神様は私からほぼ全ての感覚を奪った

けどね、感じるんだ




いつも右手に優しい温もりを




残念だったね神様


これだけは絶対に奪えない


否、譲らない



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