鈴蘭





ああ、どうか

あの方をお守り下さい



野原に座り込み
思いを込めるように花を摘む



−−−−−−−−−−−


『私も武家の娘です。戦に熱くたぎっている武士を止めるなど出来ぬことは承知しています』

「某は必ずや帰って参ります故…そr」

『わかっています。…待つのが女の役目ですからね(微笑)』


今はただ笑って貴方を見送るしかない


『では、いってらっしゃいませ』



−−−−−−−−−−−−−−


本当は
今すぐにでも泣いて引き止めたかった

それを口にしたら貴方を困らせてしまう

それに私は貴方の強さを知っている
熱い真っすぐな志を
信じてる
無事に帰ってくると
でも私の心はそんなに強くない
恐怖と不安が心を揺らす


祈ることしか出来ない私はなんと無力


悔しさを表すように拳に力を込めた








「そんなに握っていては花が枯れてしまいます」


涼しげな風と共に運ばれて来たのは
愛しい人の声


『幸村様!!』


振り返れば目に映る、待ち焦がれていた
愛しい人の姿



「ヒメコ殿もうじき日が沈みます故、迎えに参りました」




気がつかなかった

さっきまで昼下がりの明るさに包まれていた野原は夕日で赤く染まっていた



『もうそんな時間でしたか。花に心奪われ時を忘れていました(微笑)』


しっかり笑えているだろうか
此処で弱音を吐いてしまったら今までの振る舞いを唯の強がりにしてしまう
この方の前ではイイ女でありたいから


「ヒメコ殿は本当に花がお好きでござるな…
これを!!……帰路の途中見つけ致したのだが…その…よければ…」


『私に贈って下さるのですか??』


真っ赤な顔で差し出されたのは
白い小さな花を幾つもつけた

鈴蘭の花



「Σヒメコ殿!!どうなされた!!??」

『うっ…っ…』


張り詰めていた糸が緩み
今まで溜め込んでいた気持ちが一気に
洪水のように涙となって流れ出した


『うっ…よかったっ…無事っでっ……』


駄目だなぁ
折角かっこいい台詞言ったのにだいなしだよ。


「……もしや、某のために泣いて下さるのですか?」


コクッ

と、小さく頷けば


「この幸村、感無量でござる!!!
まっこと厚かましゅうございますが…
これからはヒメコ殿の元へ1番に帰って参ります故……側に居て下さらぬか?/////」



真っ赤な顔で
一気に勢いよく告げられた言葉に
頷くことしか出来なかった


【鈴蘭と共に帰って来たのは愛しき人】




−−−−−−−−−−−



最後まで読んで頂き有り難うございます


姫ちゃんはお館様の娘とかだと思います
(ノープランでスミマセン)
こんな駄文にも感想いただければ幸いです


鈴蘭の花言葉は幸福が戻ってくる等の意味があります




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