几帳面な性




つ、つつついにやって来て仕舞いました
3月5日。


私にとってとてもめでたい日であり、同時に来て欲しくなかった日。

こんなにも矛盾した気持ちの原因は唯一つ
今日が彼の誕生日だからなのです。


そう、何を隠そう
本日は我がクラス否、我が校の(寧ろ私の)
王子様、幸村精市くんのバースデー!!
学校中がその話題で持ち切りなのですよ!!

で、何故私がこんなにもテンパっているかと言うと……。
つまり王子様(基、幸村くん)はそれはそれは、麗しい容姿の持ち主でその微笑みは直視すれば立ちくらみを引き起こす程。
更に趣味がガーデニングで、慈愛に満ちた性格がひしひしと伝わってくるのです。
これで強豪テニス部の部長なんて、本当に死角なしな方なのですよ。
そんな訳で王子様は学校中だけでは留まらず、他校の方々(女子を中心に)にまでファンがいる憧れの的なんです!!

故に、同じクラスであってもプレゼントを渡すのは命懸けで、ミラクルな事に3年間クラスが同じだったのに1つも渡せていないのです…

『もうすぐ卒業…今年がラストチャンス!!今年こそ絶対に渡してみせる!!』


と、意気込んで見たものの
早くもくじけそうです(泣)





『毎年の事ながら…乙女の根性スゲー…』

いやはや…
下駄箱も机もロッカーも、
プレゼントの山、山、山…。

『(…にしても皆、もっと考えようよ)』

自分の思いを届けることでいっぱいいっぱいな乙女達は、自分のプレゼントが落ちない(机から)ようにすることしか頭になかったようだ。大きさが不揃いなことも災いして、机に築かれたタワーは奇跡のバランス(これは過言ではない)を保ち…ハッキリ言おう、いつ倒壊してもおかしくない状態なんですね。



大きいものは机の側に下ろし、箱は無駄なスペースが出来ないようにきっちりと並べ、尚且つ落ちないように端のギリギリは避ける!!

あぁ!!なんて無駄のない完璧な並びなのだろう…。私って几帳面なんだよね(大概の人は信じてくれないケド)。

「おはよう名前さん。」

『ゆ、ゆゆ幸村君!!おはようございます!!お誕生日おめでとうございます』

「フフ、ありがとう。どうして敬語?」

わっ、笑ったー!!
頂きましたスマイル!!なんと麗しい!!
この微笑みを曇らせるなんて野暮な事はしたくない…。私は空気の読める子なんですから!!ここは労いの言葉をかけることに勤めます!!

『幸村君は毎年大変だね』

「気持ちは嬉しいんだけど、ね(苦笑)」

『でも、羨ましいや。自分が生まれた事を祝ってくれる人がこんなにもいるなんて、とても素敵。』

「そうだね。今年も皆の気持ちに恥じないように生きるよ」


几帳面な性

(毎年ありがとう。苗字さんって几帳面なんだね)(…気付いてたの??)


お礼に何か奢るよっていうのは建前で、
お昼一緒にどう?

少し前進



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いつもの二割増しで夢主の人格が迷子…
ゆっきーは、毎年規則正しくプレゼントを並べてくれる夢主ちゃんが気になる的な。











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