携帯電話をポケットから取り出した真宵は、いそいそとツールを弄る。すると玄関のドアが開く音がして真宵は振り返る。 ゆかりとアイギスだ。 「あれ、真宵帰って…」 「しーっ」 静かに閉めてね、とコロマルにしたように真宵が言うとゆかりは怪訝な顔をしたが、アイギスは小さな声で「了解しました」と本当に音を発てぬくらいにドアを閉めてくれた。 真宵が改めて携帯電話を弄ると、ゆかりとアイギスも静かに近づいてくる。そしてソファーで寝ている人物に気付いたらしい。 「うわ、珍しい。寝てるの?」 「呼吸は正常であります」 「アイギス……縁起の悪いこと言わないでよ。で、…何してんの?」 荒垣に携帯電話のカメラを向ける真宵にゆかりが若干呆れたように言う。その口調から真宵が何をしようとしているのかわかっているかもしれない。 だが真宵も律儀に答えた。 「写真とろうと思って…」 「…まあ、珍しいけど」 「アイギス、コロマル。一緒に写ってもらっていい?」 「はい」 コロマルも嫌がってない。 真宵が以前にもコロマルをとっていたからだろう。コロマル用執事服を着せた姿が可愛くて、折角だからと待ち受けにしているくらいだ。 アイギスにはコロマルを抱っこしてもらって、荒垣の寝ているソファーに寄ってもらう。二人とコロマルがちゃんとカメラに収まるようにギリギリ近づくよう頼むと、ゆかりは真宵の携帯電話を覗き込んで笑った。 「すんごいギリギリ」 おかしそうに言うゆかりにつられて真宵も少し笑いながらシャッターボタンを押した。 シャッターチャンス (次はゆかりも入る?) (真宵も一緒ならいいけど?) |