ジリリリリリッ!




けたたましい目覚ましの音にあたしは跳ね起きた 見れば時計の針は7時50分 やばい、遅刻する…!あたしは布団をはね除けるとハンガーにかかった制服をとろうと立ち上がる 素早く冷たいブラウスの袖に腕を通しネクタイを締める 着てしまうと問題ないのけれどこの瞬間が気合いがいる…だけど、このあとにもっと気合いを入れなければいけないことがある
簡単に髪を整えて(今日は寝癖が全然無かった!)顔を洗って机の上に無造作に置いてあったクロワッサンを食べてからまだ寝ているであろう保護者の部屋に突入。



恋哀



『オッサン、起きて』


「………ぅう」


シンプルな白と黒を基調とした部屋の真ん中に置かれたパイプベッドに銀髪だけはみ出たまま布団の中から呻き声が聞こえた不法侵入?そんなの知ったこっちゃない。少し、いやかなり乱暴に揺らす(中から、うっうう〜なんて呻き声が聞こえるけど無視 しっかり目覚めるまであたしはやり続けます)今日は時間がない、最終手段として窓を全開にして布団を剥ぎ取ってやろうとした、その瞬間ググッと腕を掴まれてあたしはそれに覆いかぶさるように倒れこんだ


「オッサンやのうて雅治くん、やろ?」




僅か数センチというところに雅治くんの整った顔がある きっとほとんどの女性が顔を真っ赤にしているところだがあたしは違う 冷めた目つきで妖艶に微笑む雅治くんの瞳を見つめ返す

『おはよう 雅治くん』


「そんなに見つめられるとこっちが照れるーほいで今日も美人さんじゃなあ、なまえは」

『んなことどうでも良いからさっさと着替えて、遅れるよ』


「いやん、なまえ冷たい」

ぶーと口を尖らせて渋々ベッドから立ち上がるこの人は仁王雅治。赤の他人でありあたしの保護者だ 何故あたしと他人である雅治くんが一緒に暮らしてるのかというと、あたしの両親が事故で亡くなったからだ そうなれば親戚関係に引き取られるのが普通、なのだが同情の声はかけるくせに誰もあたしを引き取ろうと名乗りあげる者はいなかった(祖父母は一緒に住もうと言ってくれたけれど既に一緒に住んでいた叔父さんが嫌がった) そんな時雅治くんが現れたのだ 雅治くんがあたしを引き取るといった時祖父母は渋ったが最終的に承知したそうだ 雅治くんに任せたらきっとあの子も安心するだろう、と。あの子とは母さんのこと どうやら雅治くんと母さんは幼なじみだったらしい


「なにボーッとしとんじゃ、遅れるんじゃなか?」


『え、あ!いってきまーす!戸締まりよろしくっ』


今日も一日が始まる

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