「なあ、本当なの?」 ヒュウと風が私と切原の間を通り抜けた …とりあえず神様でも仏様でもだれでも良いからこの状況から私を救って下さい 『………(ってか私なんでこんな状態になってるんだろう…) 』 「ねぇ聞いてんの?」 どんッと偉そうに聞いてくるのは切原赤也、正座で縮こまってるのは私(この状態過去にもあったような…)あれ、私なんでこんなことになってんの?切原が女の子(後から聞いたけど好敵手のなまえさんだったらしい)と付き合い初めて私は失恋してこの物語終わりじゃなかったの? 「聞いてるんですかーお前丸井先輩と付き合ってんの?」 私と丸井先輩…?なんで丸井先輩が出てくるの?そりゃあの時のことがあって確かに最近廊下とかで会ったら挨拶したりお菓子あげたり貰ったり一緒に帰ったりしてたけど切原の話だとどうやら私と丸井先輩は両想いで付き合ってるんだとか。ちなみに話を聞いたのは仁王先輩だとか…まさか… 『か、勘違い!多分…いや絶対仁王先輩勘違いしてる!!』 見て勘違いしたとしたら屋上のあの時だ、きっと。あの時仁王先輩は屋上にいたとして丸井先輩と私のあの時のやりとりを見てるだけなら勘違いしても仕方がないと思う 『…なんで…切原に言わなきゃいけないの?』 「そ、そりゃあ」 なんだか悔しくて仕返しとばかりに冷たく言い返せば今まで勝ち気だった切原は口ごもる それを私は妙な冷めた気持ちで見ていた そうだ、なんで関係のない切原にそんなこと言わなくちゃいけないの?自分一人切原に呼び出された時もドキドキして私が馬鹿みたい 「丸井先輩は部活の先輩だし…俺とみょうじは友達…ってかクラスメートだろ?」 『…』 そうだよね、切原と私はただのクラスメートだよね 「…俺的にはクラスメートから友達に昇格したいわけなんだけど」 『、うん』 切原の突然の申し出にちょっと驚いたと同時に複雑だった どうせならもうただのクラスメートでいたかった もう構わないでほしかった 何も言えずいつの間にか沈黙に包まれた気まずい空気になっていた 「赤也ぁーなまえー!!」 ナイスタイミングと言うべきなのかあんまりお望みではない救世主の声が聞こえてきた、が…姿は見えない 辺りを見渡していると上から「こっち!こっちだよぃ!!」と聞こえて貯水タンクの上を見れば足を宙ぶらりんにさせた丸井先輩が「よっ!」と笑う 「二人とも揃って見つかるとは思わなかったぜ!」 ぴょいと丸井先輩は飛び降りてこっちにやってきた 「どーしたんスか?」 「部連絡!今日は部活ないって」 「そうなんっスか あ、じゃあ仁王先輩と3人で久しぶりにゲーセンでも行きません?」 「あー…俺はパス!今日はこいつとデートすっから」 …………は? 『丸井先輩、私そんな約束してましたっけ』 「俺が今決めたんだよ」 文句あるのかよぃと眉を潜めた丸井先輩にすかさず『もちろんですよ』と言い返した お前は某がき大将か。 「んーお前甘いもん嫌い?」 『そんなわけないですよ、大好きです』 「じゃあ良いじゃねぇの」 はい、決まり!と勝手に決められたわけだけど…まぁいっか。お金の持ち合わせもあるはずだし 話の内容からしてどうやら甘いものを食べに行くみたいだし 丸井先輩なら気使わなくて良いから今日はいっぱい食べよう…ところが、 「先輩、俺も行っていいっスかー?」 え、ちょ、切原まで来るの?せっかくゲーセン行くつもりなら仁王先輩とでも好敵手のなまえさんとでも行ったら良いじゃん!不機嫌な顔をしていたら一瞬切原と目があった、がすぐに目をそらされた 「…俺は別にいいけど」 「じゃ決まりっスね」 ニッと笑う切原になんだか腹立たしい気持ちになった 追いかけると逃げて行くらしい (もうやだ、人の気も知らないで) |