最近、なまえがおかしい気がする。 いや別に避けられた、とかよそよそしいとかそういう訳やなくて…なんていうか、前に比べて一緒につるむ時間が明らか減った…ような。 「そら…お前らが、異常ちゅーか例外なんちゃうん」 苦笑地味に話す親友をムッとした顔で見る。白石なんかに、わかるか!俺らはそこらのへぼい幼なじみとちゃうねん!仲良いねん!! 「だって、夏休み入ってから一回も会ってへんねんで!?家、横やのに!」 まだ、夏休み三日しか経っとらんやんという白石やけど…三日も会うてへんねんで!?夜、窓見てもカーテン閉まっとるし、電話かけても出んし… 前に、キャンパスの図書館で遠目で見た時は暗い顔しとったから、気分転換に、おもろそうな新作の映画のチケット貰うたから誘って見に行こうと思ったのに。 「……ちゅーか、謙也って彼女おらんかったか?」 「おん、おるで?」 「はぁあ!?お前、その映画も普通彼女と見にいくやろ!ありえへん…」 「でも…昨日もデートしてきたし、それにこの映画は絶対、あいつと見た方が盛り上がるやろうし」 はぁああと白石は意味ありげな深い溜息をはいて、俺を憐れむような目で見てきた。な、なんやねん!グイッと氷が半分以上溶けて、薄くなったオレンジジュースを飲み干した。相当、喉が渇いとったんか、一気に喉が潤った気がした。 「謙也、お前…もう大学生やん。中坊でも無いのにつるむ時間なんて減るに決まっとるやん。それに、普通は幼なじみより彼女優先やろ」 「そんなん、」 「ええか、謙也。きついこと言うかもしれんけど、お前は幼なじみに執着し過ぎ。幼なじみなんか、いつか離れるもんやで…このままやったら、お前、彼女もその幼なじみの子も無くすで」 カッときた。いつの間にか、拳を作っていた。そのまま、白石を殴りそうやった。けど、堪えれんたんは、白石の言うことは最もやと思ったから。 彼女とは2年付き合ってるけど、最近あんまりうまくいっとらん。 彼女は俺となまえが幼なじみで仲良いの知ってたけど今まで、何も言わんかった。でも、やっぱり、我慢してたんかな… 「そういえば、その幼なじみの子、彼氏おらんの?」 「多分、おらんと思う。告られてはおるみたいやけど、全部断っとるな」 なんでやろう?好きなヤツも聞いたことない。普通この歳になったら…彼氏の一人や二人…ってあれ? 「…あれ、」 「は?」 「俺の幼なじみ……」 ファミレスな外を指差す。俺の目線の先には、俺の知らんヤツと楽しげに歩いていくなまえがおった。え、誰、あいつ。 「なんや、彼氏おるやん」 優雅にミルクティーを飲む白石の言葉に固まってしもた。 |