どうやら、××は3日前に中小企業で働いていたが辞めたらしい。


「おい、大丈夫なのか?」


『んーまだ23だしね、なんとかなるでしょ』


『なんとかなる』は昔からのコイツの口癖で。自負し過ぎたとは思うがこいつは言葉通り、いつもなんとかなってしまう。この脳天気さを見て学生時代の俺はずいぶん肝を冷やされる思いをしたものだ。


『あ!それより!!今年の氷帝はベスト2だったんだよ、すごいよね』


ああ、もうそんな時期だったのか。


卒業した後の氷帝のテニス部には興味が無かったから俺の後輩たちがそんなところまで行けるなんて意外だった。本音を漏らすと、認めたくは無かったが跡部さんが率いるあの時のテニス部が歴代の中で一番強かったと思う。


『試合ね、見てきたの』


「働けよ」


『ウルサイなぁ、でね、やっぱり……私たちの代の方が何倍も強かったしかっこよかったよ』

自信げに語る××に俺は苦笑した。やっぱりこいつ変わってない。


自分の気に入ったものや人をこれでもかと言うぐらい誇らしげに話す癖。俺もこいつと付き合ってたとき、あまりにもこいつが跡部さんや鳳に俺の自慢をするもんだから、何度も恥ずかしい思いをさせられたものだ