昼下がりの午後、カウンターの端でコーヒーを飲んでいる時が、俺にとって一番の至福の時だ。


隠れ家のようなこの店も、どこかエキゾチックなマスターも、すべてがこの空間に溶け込んでいる。


俺はネクタイを緩めつつ椅子の背もたれに身体を全身全霊預けた。ピンッと張り詰めた背筋を崩せるのはここだけ。












「あれ、日吉?」


どきり、とした。
久しぶりに聞く懐かしい声に。