『懐かしいね』


そう言って目を細める××は学生時代の同級生でもあり、部活のマネジでもあり、元俺の彼女でもある。会うのは5年ぶりだろうか。あの頃より垢抜けていて一層大人びていた。

よくカップルになって別れた後は気まずかったりすると聞くが俺達の場合は自然消滅でしかも嫌でも引退するまで部活で毎日顔を合わしていたものだからそういうものは一切無く、普通の前の関係に戻っただけだった


『日吉まんまだね』


「ほっとけ、お前もだろ」


『あ、ひどい。跡部先輩とかは綺麗になったなって言ってくれたのに』


ほらこうやって穏やかに笑っている。俺も穏やかに笑えているはずだ。



『嘘、日吉、すっごくかっこよくなったよ』



、なのに俺には今も罪悪感がある。表上は自然消滅と言えど俺にはあの時密かに他に好きな奴がいたのも事実だ。お前は聡い奴だからすぐに気付いたんだ。自然に距離を広げたのはお前だった。


そして、俺たちが終わったとき、お前が密かに泣いたって、俺は知っているんだ。