「らぶちゃん」



背後からそう声を掛けられ振り向いた。



「あ、帝人くん!」



そしたらいつもの様に優しく笑う愛しい人が居た。けれど私はなんだか背筋がゾクリと栗だった。そんな自分に疑問を抱きつつも優しく微笑む彼に微笑み変えす、…が



違和感



「み、帝人くん?」

「どうしたの?らぶちゃん、何かあった?」



何か変
そう感じた。



いつもと同じはずなのに、いつものように彼は優しく笑っているのに…
…いつものように?…笑って、い、る?



にこり、にこり。



そんな擬音語がぴったりな彼の笑顔はあまりにも不自然だった。笑っているのは笑っている、が…それは口元だけで目が笑っていない。



「らぶちゃん、今日は何もなかったみたいだね?」

「え?」



唐突にそんな事を言われまた背筋がゾクリと栗だった。



(どうしてそんな事聞くの?)



だって、彼は知らない、私がイジメにあっていたこと、変な人にストーカーまがいなことをされていたこと、
彼が離れることが、軽蔑されることが怖かったから、彼が巻き込まれる事が嫌だったから…話していなかったんだ。
だから違う、さっきのはこの事じゃない、…そう、違う、…いきなりイジメが無くなって、イジメの主犯者が消えたコトも、私をストーカーしていた男が海の上で発見されたことも、私に危害を加えた人が全員、焼死体で見つかったことも、…その事が起こった後いつも帝人くんが…こうやって笑ってさっきの言葉を放った事も、全部全部違う、偶然、そう、偶然。
だよ、ね?
帝人くんは関係ないよ、ね?



なん、に、も



そんな思いは



「掃除したかいがあったみたいだね。」



なんて笑う彼の言葉に砕け散った。



「み、かど、くん?」



ゾクリ、ゾクリ
背筋が凍る。
ウソだよね?
だって帝人くんが、そんな、コト…



「らぶちゃんは何も知らなくていいよ。」



なんて言って笑う彼が
こ わ い、



「らぶちゃんは傷つかなくていい。」

「わ、わたし…」

「らぶちゃんを傷つける物はすべて掃除するから大丈夫だよ。」



なんて言って抱きしめられる。そんな歪んでしまった彼の腕を私は振り解けなかった。
その理由は、



恐怖?愛?いいえ歪んだ執着心。



(恐いのに離れられない)

(それは愛でも情でもない)

(それはただの)

(執着心)






2011.03.25







――――――
綾乃様のリクエストだった帝人夢です(><)
なんかぐだぐだになってしまってすみません(ノд)
綾乃様のみお持ち帰り可です(^^)










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