「好きです。」
目の前の少女は笑顔でそう言った。
「知ってるよ」
そんな彼女をチラッと見ては俺はやりかけていた書類用紙に目を向けなおした。
「愛してます。」
「五月蠅いよ。少し黙ってよ。」
そう冷たく返すのに彼女は笑ってまだ愛を囁くのだ。
愛してる、好きです
そう何度も何度も。
「黙ってくれないかな…」
「好…
黙ってと言ってもなお口を開く彼女の言葉は遮られた。
書類用紙が宙に舞ったと同時に男の唇によって。
「俺はらぶちゃんのこと嫌いだよ」
「…だから。ワタシは臨也さんが好き。」
そう言った彼女を見て俺はまた唇に噛みついた。
「ワタシを好きにならないアナタだから好きなの。」
一言、
彼女はぽそりと呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
歪な片想い
(好きと言ったら最後)
(だから俺は君が嫌いだ)