笑っとって
そんな顔せんといて
ほとりにはそんな顔
似合わへん。
「じゃあな、気つけて帰れよ?」
ほとりの気持ちも知らずそう言うてほとりに背を向けたほとりの想い人。
そんな想い人の行動に案の定傷ついとるほとり。
なにやっとんの、
イライラするわ。
ほとりの気持ちに気づかん想い人にも、何も言わずただ悲しみに堪えるほとりにも。
なぁ、ほとり。
なんで?
どこがええの?
傷つけられとるだけやない。
ボクにはわからへん。
悲しそうな顔せんで、
そんな顔するんやったら一緒に居らんかったらええ。
「健気やね。」
「!…ギン、驚かさないでよ。」
びくりと肩を震わせ君はこっちに振り返る。
そんな君に元気なんてなかった。
「健気…いや、愚か、なんかな?」
そんなこと言えば君はキッと僕を睨んで「何が言いたいのよ」なんて言う、そんな君に少し傷ついては僕はにこりと笑って「何でもあらへんよ」と答えた。
ああ、
君は愚かや、
「ほとり」
幸せになる方法があるのに、
笑顔でいれる方法があるのに、
傷つかんですむ方法があるのに、
「愛しとるよ」
なんで僕をとらへんの。
冗談でしか言えない
目を見開く君に
わかりきった答えに
僕は…
「冗談や。」
(なんでなん?)
(僕の方が)
(好きやのに)