疼く胸

抱かれる醜い感情

こみ上げる何か



ねぇ、



醜い私にさせないで、
苦しませないで、
悲しませないで、
不安を取り払ってよ、



愛してる



私だけに言ってよ



私だけを見てよ



ねぇ、



あの子を見ないで。










「今日、用事あるの。だから先帰っていいよ。」

「そうか、わかった。」



ウソを付いた。
一緒に帰っても違う子のことを考えて上の空な冬獅郎を見るのがイヤだったから。
だけどね、
少しくらい気にしてくれてもいいじゃない。
用事って?とか
終わるまで待ってる。とか
言ってくれてもいいじゃない。


「じゃあな、気つけて帰れよ?」



そんな悶々とした私の気持ちは置き去りに君は私に背を向けた。



そんな君を見て私の胸は疼く。
どろどろした感情が渦巻く。



そしてそんな醜い私に
私は嘆くしかなかった。



私ってこんなにも








「健気やね。」

「!」



唐突に背後からかけられた声に驚き肩を震わせた。



「ギン…驚かさないでよ」

「健気…いや、愚か、なんかな?」

「何が言いたいのよ」

「何でもあらへんよ」



にこり、そんな擬音語が似合う笑みをギンは見せた。そんな笑みを見て私は悟る。
ああ、この笑みは何かあるって意味だ。と



幼なじみ、
ギンとは長く一緒に居るんだ、大体はわかる。



こういう時のギンはいつも何か考えてるか企んでる。
かと言って何を考えてるのか企んでるのか、なんてわからないけれど、



「ほとり」

「なに?」










「愛しとるよ」










唐突なる言葉にうろたえた





「は?」

「冗談や。」

「は!?」










(愛してる)

(君からその言葉が)

(欲しいのに…)










 
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