いつからだろう。
心から笑えなくなったのは、
いつからだろう、
不安になったのは…
「冬獅郎…。今日も雛森さんのお見舞いに?」
愛しい人と下校中。
とある分かれ道で私は彼にそう問うた。
「あぁ、悪いな、ほとり。」
「ううん。早く良くなるといいね!」
あなたの幼なじみの雛森さんは病弱な体で今入院中。
あなたにとって家族と同等に大切な人らしい。
私は学校でチラリとしか彼女を見たことがないけれど、とても可愛らしい人だったのを覚えている。
「じゃあな、ほとり。」
「また学校でね。」
なんてニコニコ笑って手を振る私の笑顔は引きつっていないだろうか?
なんて考えつつ歩いてゆく冬獅郎の背中を眺めては悲しくなった。
「冬獅郎…、」
あなたは私の恋人だよね…?
あなたは私のこと愛してくれているよね…?
彼はあの子が好き
噂話の断片が
頭を掠めた。
私は胸が
苦しくなった。