神に愛されるということ



※公式腰痛記念






「……おとうさん、楽しそうにお電話してるね」
「そうねえ。男の人の長電話なんて珍しい。あ、そろそろ出発したほうがいいわね。イヴ、ハンカチはちゃんと持った?」
「持ったよ、おかあさん。ギャリーに会うときは絶対忘れないことにしてるの」
「えらいわねえ。さてそれじゃ……」
「いやーーそうそう、そうなんだよギャリーくん! やっぱりわかってくれるんだねー、でさあ、そのときなんだけど僕ねー、」
「……」
「……」

「だからあっちの社長に言ってやったんだよ僕、頭に赤い洗面器を…… ってうおわぁああ!?」
「…………」
「だ、だい、大丈夫だよギャリーくん、うん、ちょっと、娘がすごい怖い目でこっち見てて、なんていうかどっかのうさぎの名探偵が推理中っていうか通報直前みたいな目っていうか怖いっていうかいったあ!?(イヴに脛を蹴られて受話器を取り落とす)」
「…………もしもし、ギャリー」
『あら、イヴ! ねえパパさん大丈夫?すごい声したんだけど、背後からもうめき声が』
「大丈夫…… あの、お電話……」
『ああ、そうそう、イヴに連絡しなくちゃいけないことがあって電話したんだけどね、パパさんが離してくれな……ええと、つい話が盛り上がっちゃって、ごめんなさいね?』
「ううん、いいの…… それで、おはなしなあに?」
『ええ、今日、おうちに来てくれるはずだったんだけど、その、ちょっと都合悪くなっちゃって』
「…………」
『イヴ?』
「……(←言葉にも顔にも出ないけどショック)
 ……(←でも困らせちゃいけないよね、だいじな用事がはいったんだよね、と思う)
 ……(←だいじな用事ってなんだろう……きいてもいいのかな……と迷っている)」
『本当、ごめんなさいね。でも今日、ろくに動けそうになくて』
「うごけない……(←忙しい、ていう意味かなあと思っている)」
『ええ。もともと腰痛持ちではあったんだけど、こんな痛いの始めてよ。ちょっと泣いちゃったわ』



「……来てくれたのはうれしいけど、ほんとにおもてなしとかできないわよ?ごらんのとおりベッドから起き上がるのもしんどいんだから。玄関までの往復で薔薇むしられきった気分よ」
「(こくん)」
「アタシが寝てるだけじゃ、たいくつでしょうに」
「(ふるふる)」
「変わった子よねえ……あー、マッサージとか行きたいわー。でも道中でたぶん死ぬわー」
「マッサージ」
「ええ…… ……イヴ?」
「……(両手でとんとんとギャリーの腰を軽くたたく)」
「イヴさん?」
「おとうさんが、肩痛いとき、こうしてあげると気持いいって……」
「(筋肉の緊張からくる肩の痛みと違って、これ腰痛にはあんまり効果ないと思うんだけど)……ありがと」
「……(トントンしている)」
「……」
「……(トントンしている)」
「……」
「……(トントンしている)」
「……イヴ、ほんとにたいくつじゃない?」
「たのしい」
「た、たのしいの?へえ……」
「……あ、忘れてた(ベッドをいったん降りて、カバンの中をごそごそする)」
「ん? ……あら、なあに?何か持ってきたの?……(背中からべろっとシャツをめくられて跳ね起きる)きゃあっ!?」
「あ」
「(跳ね起きた拍子に腰に激痛)っぎゃあああっ!?」
「……!(おろおろしている)」
「い……痛……いたい……っ」
「ご、ごめ、ごめんなさい、ギャリー」
「だ……いじょうぶよ、こっちこそごめんなさいびっくりしすぎよね、腰が痛くたって死ぬわけじゃないわ、でもどうしたの急に……」
「これ、もらってきたの……うちのおいしゃさまに」
「(今「うちの」って言ったわよねこの子、詳細をつっこむのは怖いからやめときましょう)…湿布?」
「うん…… えっと、あったかいのとつめたいの、もらってきたの。
ぎっくり腰とかなら、えんしょう?が起きてるから冷やして、いつも痛いのなら、あっためるんだって。どっちがいい?」
「……冷たいほう、かしら」
「貼ってあげる」
「あらありがと。じゃあお願いね」
「(こくん)」

「……ひゃっ…… あ……っ、あ、すご…… 気持ちいい……っ、ん、ふー……いいわ、イヴ……そこ、すごくいい……
……? どうしたの?」
「…………(←なにか巨大な衝動が渦巻いているのを感じるがその正体と発散の方法が見当もつかない九歳児)」
「イヴ?」
「……湿布、もってきてよかった?」
「そりゃもう。湿布っていいわねー。なんかもう楽になってきた気がするわ、これからは常備しとこうかしら」
「そっか……」
「(なにかしらこの子すごく複雑な顔してる……)」


「今日はほんとにごめんなさいね、アタシずっとこんなんで」
「(ふるふる)」
「あら、そうなの?」
「ギャリーとベッドで過ごすの、はじめてだから、うれしい」
「……えーっと……」
「?」
「えっとねー……」
「??」
「イヴ。背中側じゃなくて、こっちきて」
「うん…… わ(引き倒される)、わ(ぎゅっとされる)、……ギャリー(戸惑いながら見上げる)」
「……あー……癒されるわー……」
「いやされる?」
「治療されるってかんじ?」
「……ちりょう。おいしゃさまのすることだよね。湿布より効く?」
「ん? あは、そうね」
「じゃあ、もっとぎゅっとしていいからね」
「ふふ。ありがとう」
「痛かったり、くるしかったりしたら、ちゃんと呼んでね。ひとりぼっちでいないでね」
「ええ…… ええ、そうね。イヴのこと、呼ぶわ」


ちなみに娘と一緒にギャリーさんの家に向かおうとしたパパはママにアームロックをくらっています




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まんがむきのネタでした
公式腰痛がえろすぎてやばい

創造主のきまぐれではさまれたり鮫に噛まれたり泣くほどの腰痛を与えられたりするギャリー。
愛された結果受難におちいる、が、神相手にすら発動する魔性のオネエ



2012/10/06
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