ファミリー(西東)

※本編後だけどめずらしくお付き合い前




「桃園さんちがどれだけ居心地いいのかはお前みてりゃわかるけどよ、なんつーか、俺らのほうが家族に近いわけじゃん? 親戚みたいなもんだし、いっしょに住んでたし。なあ来いよ、瞬だって喜ぶって」
「…あのね隼人、ずっと気になってたんだけど」
「おう」
「わたしたちって今、どういう関係なの? 同僚じゃないし同胞でもない、仲間だったことも、なかったし。友達じゃないし、血縁関係も無いわ。…データベースを辿ればどこかしらで同一個体にいきあたるでしょうけど」
「そうだな」
「だから桃園だって、わたしの家族だわ。いえ…こんな言い方がしたいんじゃなくて…知りたいの。あなたが、どうしてわたしと暮らすべきだって、そう思うのか」
「そうだな。今おれらが一緒に暮らすような関係だってこと納得できる関係性はないな。
だからさ、せつな。なくなっちまったから、作りたいんだ。新しい関係。
瞬が言ってたんだ、つまりな、こっちの言葉でいうなら」
「言うなら」
「俺は…お前の、その、なんだ……配偶者になりたい」



「どうだった隼人。せつなは僕らとの同居を承諾したかい?」
「どっちともいえねーなー。『今はだめ』って」
「お断りの常套句じゃないか」
「まじで? いや、あのな、今は桃園さんちで家庭とか、親子とか、そういうのを知りたいんだと」
「そうか…確かにそれは、僕らとでは得られないものだね。彼女、あゆみさんにはずいぶんなついていたし」
「お前いつのまに桃園のおばさん名前で呼ぶようになってんだよ。外出した気配ないくせにほんと謎の行動力だな。
ああでも配偶者になるって話はOKもらったぞ、やっぱり今すぐはだめだっていわれたけど。ん?これってお断りされたのか?」
「配偶者じゃないよ、保護者だよ。何度言えば間違えなくなるの」
「あー、そうだったそうだった。 あれ、配偶者じゃなかったっけか?」
「保護者だよ。中学生の女の子に対しては。配偶者じゃ結婚相手になるだろ」
「えーっと保護者が相手を守るもので、配偶者もそうだろ?… うーむ意味が似てていつまでもまざるんだよな…てか違いがいまいちわからん…あれ?OKされたぞ俺。お前の配偶者になりたい、って言って」
「…配偶者って言ったつもりで、保護者、って言ったんじゃないの?」
「………(思い返す) いや、たしかに言った、配偶者って言った。そしたらせめて高校出るまで待ってほしいって言われた」
「……」
「瞬?」
「……(宙を見上げてなにかを反芻するようにし、重々しく頭を左右に振り、深くためいきをつく。その後ゆらゆらと歩きながらソファに倒れこみ、クッションに顔をうずめてもう一度深くながいため息をはきだす)
…………そう…………(半笑いで隼人をチラ見)」
「あ、なんだよそのサウラーのときにも見せたことがないような『うっわーやっちまったこいつ』って顔!」
「隼人、いますぐせつなのところにいって訂正をしてくるんだ。そうしたら半殺し程度で済むかもしれないよ」
「訂正しても半殺し!?」
「訂正しても全殺しかもしれないけど…」





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意味がまざるのは両方やりたいから。自覚なし。

そしてそしてこのお話の絵をいただいてしまいましたー かわゆい まじかわゆい
こちらからどうぞ!


2010/01/17


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