どーゆーこと?

私は今、自分はなんてバカなことをしたのだと自分の脚を抓っている。めちゃくちゃ痛い。

事の発端は私が自習室で寝てしまったことにある。
明日提出の問題集、家に持って帰っても絶対やらないので仕方なく学校の自習室でやってから帰るかぁ的なノリで来た自習室。

しかしまぁ自習室と銘打って置きながら利用者は物好きな人しかいないわけで、今日も今日とて誰も居ない。

真ん中には仕切りの代わりの壁があってその両側に大きな机がドーンとある。まぁ一応気は使ってはくれているがこれでは勉強しずらいったらありゃしない。

こんなんじゃ利用者は減る一方だろ…とため息をつきながら仕切りの向こう、窓のある一番奥へ座った。
まぁそしたら居心地最高すぎて30分足らずで夢の世界へGOである。



そして起きてみたらどうしたものか。仕切りの向こうに誰かいるのだ。気まずすぎんだろ。しかも、だ。




「えーっ?!トシくんなんでできんのーーっ?!」

「うるせぇ、ほらさっさとやってみろ」

「はーい!」




トシくんだぁ……

多分トシくんと、トシくんの友達(女)がなにやら楽しげに、いい雰囲気で仕切りの向こう側でお勉強会である。oh......
私の存在は、多分、てか絶対気付かれてはいない。

だからこそ余計に非常に気まずすぎんだろ…!




さて。起きてから30分は夕に過ぎ去った。つまり、だ。問題集などとうのとうに終わっている。時刻は5時。夕日が目にしみる時刻だ。
私は出来ることならば早く帰りたい。が、出口はひとつ。つまりこのいい雰囲気の二人の前を通り帰らなければならない。

非常に気まずい!

どうしよう。ホントにどうしよう。窓?窓からフライアウェイ?いや無理無理。ここ3階だし。


まぁ……もうあれだ。仕方ないので早くお勉強会が終わり、仲良く帰ってくれることを待つことにしようじゃないか。



『(……仲良くは、嫌だな……)』



少しもやっとした時だった、仕切りの向こうから「でーきたー!」と声が飛んだ。終わったのか?!



「できたー、ありがとうトシくんー!」

「はーつかれた。お前覚え悪すぎ」

「えっー?!これでも記憶力はあるんだよー?!」

「どうだか」




何やら仲が良さげで。私は少しもやっとした。
…私だって記憶力はあるよ、トシくん。
なんてバカなことを考えてんだ…と顔を机に突っ伏した。早く、帰ってくれないかな…

するとガサガサと片付ける音と共に会話が変わった



「ねぇ、トシくんってさー、好きな子…とか居ないの?」

「好きな子?」

「あ、や、あんまり噂効かないなー、みたいな?!」



おっと…これはまさかのまさかなパターンでは……?!!
しかも女子先輩明るく言ってますが好意丸出しじゃないですか!恋する乙女じゃないですか!

まさかまさか、ドS沖田くんの時に体験したことをまた私は体験しなければならないとゆーあのパターンですか…?!!


またかよ……と思う反面トシくんモテるんだ……とちょっと寂しく思う。彼女出来たらもう構ってくれないのかなー、とかね。

なんて机に突っ伏したまま話を聞いていたらトシくんが「あぁ、」と口を開いた



「好きな子、ねぇ。まぁ、居るっちゃいるが付き合う気はねぇっつうか、まだ告白とかは控えてる。って感じだな」

「そ、なんだ……」



女子先輩が衝撃を受けたように私も衝撃を受けた。
総悟に続きトシくんも好きな子居たんだ……ともやもやっ。
なんか、こう、みんな好きな子とか居るって聞くと…距離が出来たっていうか………



『(大人だなぁ…)』



ちょっとしょんぼりしていたら女子先輩が沈黙を破った



「その恋……成就したらいいね!」

「ああ。ありがとな。」

「うん!あ、やば、バスの時間だ!じゃ、トシくん今日はありがと!!また明日!!」



女子先輩はバタバタと走り去っていく。
失恋…したのに強いなぁと窓の外を見る体制になる。
私なら挫けるなぁ…と外を見ていたらひょこっと現れたトシくんと窓越しに目が合う。

………え、??




「起きたかバーカ。」

『え……えーと…?』

「ここ来たらお前寝てるから場所変えようと思ったが別にいいかと思ってな」

『あははは……グットモーニング……』



なんだよ!!
気付かれてたんじゃねーか!つぅか寝てた所から知ってんのかコイツは!!んだよ普通に帰ればよかった!!!



「起きたならさっさと帰ればいいものを…ずっと声殺してるし、笑うところだった」

『こっちは必死だったんだぞ!!』



トシくんの言葉にむすっとした顔をすれば「ごめんごめん」とぐしゃぐしゃと頭を撫でられる。うん、気持ちいいからいいか。



『てかさぁ、トシくんにも好きな子って居たんだね』

「俺も17だからな」

『ふーん?』



上を向いて頑張れ、なんて笑えばほっぺをつままれた。痛くはないがふがふがとしゃべれば笑われた



「早く教えたいもんだな。好意ってやつを」

『ひゃ???ひょふひ??』

「お前はわかんなくていーよ。」



「何それ」という前に「帰んぞ」と言われ私は出しっぱなしになっていた問題集達を片付け自習室を出た







どーゆーこと?
(トシくんの話すことは難しい。けど、まだ構ってくれるとゆーこと、なのかな??なら、いっか。)

(着々と株を上げていくか。今は、な。)




大人な土方と、お子ちゃまな藍那



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