里野に連れられて食堂に入ると、騒がしくなる室内。

「倉木様だ! 今日も素敵……」
「ねぇ倉木様の手ぇ掴んでんの誰?! すげぇ格好いい!」
「転入生じゃね? 二年の」
「マジ?! 転入生ってオタクじゃなかったのかよ」
「男前×美人か、美人×男前か……」
「とにかく目の保養になるなぁ」

  何か好き勝手言ってるがいつものようにスルーだ。入って早々にぐったりとしている代を引っ張りながら、隊長を探す。

「あ、隊長いましたよ」

  里野が指差した方向を見ると、こっちへ手を振る少年が一人。某芸能事務所にスカウトされそうな爽やかな美形。
  彼が座る机に近付けば、

「こんにちは倉木様、牧もお疲れ。……で、君が倉木様の恋人君だよね! やっぱり倉木様ってクーデレなの? 取り敢えずどちらが受けか教えてくれないかなハァハァハァ」
「……た、い、ちょ、う?」
「う……そんな睨むなよ、牧」

  にっこり笑ってこの変態のマシンガンを止められる里野は流石だと思う。
  取り敢えず空いている椅子に座ると、集まる視線。近くに座っている皆が俺と代を見詰めている。
  まぁ、ここにいるのは俺の親衛隊の人たちだから、代の存在が気になって当然か。一先ず座ってぼんやりとしている代の腰を突っつく。

「代、彼らは俺の親衛隊。挨拶しとけ」
「えっ、あー、了解。……えー、本日転入してきました宇津野代です。玄とは中二のときからお付き合いさせて頂いてます」
「うんうん、宇津野君ね! 俺は須木 海斗(すぎ かいと)。倉木様の親衛隊隊長をしているんだ」
「ちなみにこの人三年だから」
「へぇー、宜しくお願いします、須木先輩」
「もう、先輩だなんてそんな畏まらなくていいよ、スッギー、とか海ちゃんとかさぁ! ああでもそんなことしたら倉木様嫉妬しちゃうかなハァハァ」
「里野」
「お任せ下さい」
「……ごめんなさい調子乗りました許してお二方ぁぁぁぁぁ!」

  里野が変態の頭を拳でグリグリとするのを見て少しすっきりした。ふと代の方を見ると、肩を震わせている。

「代?」
「……ふはっ、ははっ! 面白いな二人共」
「宇津野様。隊長と一括りにされるのは些か心外なのですが」
「酷いよ牧、痛いよ牧!」
「あははっ、やべ腹痛ぇ、何か見るだけで笑えてくる」

  爆笑し続ける代。変態隊長へのお仕置きを止めない里野。生温い目で見守る親衛隊たち。

「……注文してこよう」

  取り敢えず俺は担任から貰った食券を手にカウンターへと向かうのだった。

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