夢幻を繋ぐ約束

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俺には兄貴がいた。



初めて会った時から絶対についていくって決めて。半ば無理やりついていった。


…まぁ最初は俺も何でついて行きたかったのかわからなかったけど。
一種の憧れだったんだと思う。



(俺とは違ってしっかり自分を持っている兄貴に。)


兄貴と一緒にいる時、たまに無性に寂しくなって…。そんな時でも兄貴はずっと側にいてくれた。



(すごく安心した。)



兄貴が俺と少し似ているって言ってきた時、すごく誇らしかった。勝手についてきた俺に…。



(認められた気がした。)



そして兄貴といるようになってから数年。
…あいつらが現れた。
結果として俺は兄貴に庇われて兄貴は連れ去られて。


(…守れなかった。)



そこで初めて自分の弱さを知った。人間がもっと嫌いになった。自分を責めた。

でも、俺は兄貴と約束したんだ。
だから……。



(絶対に兄貴を見つけてやる…!)



その約束にすがって強さを求めた。今度は大事なものを失わないために。



そして俺にトレーナーができた。俺と似たようなものを抱えていそうなやつ。

ただ…。



(俺の記憶が所々無いのはなんでだ…?)


その真実を知ることになるのはまだ先のこと。





(大事なことを俺は忘れている…?)

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