夢幻を繋ぐ約束 1ページ/1ページ 俺には兄貴がいた。 初めて会った時から絶対についていくって決めて。半ば無理やりついていった。 …まぁ最初は俺も何でついて行きたかったのかわからなかったけど。 一種の憧れだったんだと思う。 (俺とは違ってしっかり自分を持っている兄貴に。) 兄貴と一緒にいる時、たまに無性に寂しくなって…。そんな時でも兄貴はずっと側にいてくれた。 (すごく安心した。) 兄貴が俺と少し似ているって言ってきた時、すごく誇らしかった。勝手についてきた俺に…。 (認められた気がした。) そして兄貴といるようになってから数年。 …あいつらが現れた。 結果として俺は兄貴に庇われて兄貴は連れ去られて。 (…守れなかった。) そこで初めて自分の弱さを知った。人間がもっと嫌いになった。自分を責めた。 でも、俺は兄貴と約束したんだ。 だから……。 (絶対に兄貴を見つけてやる…!) その約束にすがって強さを求めた。今度は大事なものを失わないために。 そして俺にトレーナーができた。俺と似たようなものを抱えていそうなやつ。 ただ…。 (俺の記憶が所々無いのはなんでだ…?) その真実を知ることになるのはまだ先のこと。 それは少し前のお話 (大事なことを俺は忘れている…?) back |