夢幻を繋ぐ約束

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夢依にオレの過去を話した。もちろん、組織のことも。オレは夢依がどういう反応をするか、怖くて夢依の顔をあまり直視できなかったんだ。

…でも、それは杞憂だった。すべてを話終えた時、あいつは…。



―そっか。大変だったね。



それだけ、オレに言った。何だかとても拍子抜けしたからオレは、お前を騙そうとしたんだぞ?と聞いた。それでも、アイツはまるでそれがなんだと言わんばかりにあっさりと答えてきたんだ。



―だからなに?ブラッキーが今、ここに…あたしの傍にいてくれる。もうそれでいいじゃん。騙そうとしてたけど今は違うならいいの。



…かなわない、と思った。オレ…いや、他の奴等とは違う考え方にオレは圧倒された。


そしてアイツのことも教えてもらった。…と、いっても孤児で生まれつき何故かポケモンの言葉がわかることぐらいしかアイツは言わなかった。そしてここに住むようになるまでの過程。



(…きっと、感覚が麻痺していたのかもしれないな。)



あの時、オレに抱きついた後にアイツはとても小さな声で、寂しかった。と呟いた。それはきっと今まで溜め込んでいた感情だったのかもしれない。


…アイツは純粋で、脆くて儚くて…強い。



弱くはない。過去の話しを聞いて思った。きっとアイツは他人から何を言われようと対して気にもとめない。自分の考え方がしっかりしているのか。…なんであれ、オレには無い考え方。


そんなアイツを少し、羨ましいと思ったんだ。


…幻利、オレは夢依に惹かれる理由が少しわかった気がするよ。

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