夢幻を繋ぐ約束

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おかしい。最近ブラッキーが冷たい。あたしの相手をしてくれない。いや、最低限はしてくれるけど。



「ねぇ、ブラッキー」

『…なんだよ』



ほら、また声音がいつもより低い。前はもう少し優しかったのに。
何で?あたし何かしたっけ?

…考えてみても思い当たるものがない。これはブラッキーに直接聞いたほうが早いかなぁ。



「…ブラッキー、あんた怒ってるでしょ」

『……別に』



ほら、やっぱりどこかおかしい。いつもなら怒ってないってちゃんと言うのに…。やっぱりあたしが何かしたのかな…。


だって目も合わせてくれない。ブラッキーの顔が俯いてるから当然なんだけど。…ねぇ、何で?



「…ブラッキー…あたしが何かしたなら教えてほしい。」

『………。』

「…あたしが悪いことしたから怒ってるんでしょ?」

『…本当にそう思うか?』

「…え?」



ブラッキーが言った言葉はか細くて、本当に蚊の鳴くような声でよく聞こえなかった。

ブラッキーは俯いてるからその表情も見れなくて、どんな内容だったのかも見当がつかない。


そして少しの間をおいて顔を上げたブラッキーの口から出てきた言葉はさっきとは違った言葉で、夢依にとって残酷な内容。



『…そう思ってるならオレと距離をおけ』

「…ブラ…ッキー?」



頭の中が真っ白になるってこういうこと何だろうか。何も、考えられない。
体が、動かない。


そして今まで聞いたことのない、冷たい声。


ブラッキーは未だに固まっているあたしを一瞥してどこかへ行ってしまう。
……でもその時あたしは見たんだ。



ブラッキーが泣きそうな顔をしていた瞬間を。


それは本当に一瞬で、すぐ冷たい目になっていたけど。……ねぇ、そんな顔をするなら何で…。


あたしはただ、さっきまでブラッキーがいた場所を見つめることしかできなかった。

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