夢幻を繋ぐ約束

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疲れきった月架がよろよろと立ち上がり、あたしに一つ、紙袋を渡してきた。どうやら開けろという意味らしい。

とりあえず一番小さい紙袋だったので苦労せずに開けることができた。いやそれなりに大きいけど紙袋の中では一番小さい。

その中身……は。



「…バック?」



何か大きいバックが出てきた。色んなもの入りそうだなぁ。機能性抜群っぽいし。

その間に月架は他の紙袋も開けていた。



「月架ーどうしたのこのバック…ってなにその服。」

「……夢依、お前旅に出たいんだろ?」

「えっ……。」



どうしたんだ急に。確かに旅に出たいから昨日の夜から準備をしていたんだけど。あれ、何でわかったんだろ。

でもとりあえず月架の言っていることは当たっているので頷いておく。



「…お前が昨日からオレに隠れてか何なのか知らないが、準備していたのは知ってたんだよ。だからオレも、お前のバックとか服を買ってきた。」

「え、…じゃあ旅、してもいいの…?」

「あぁ。まだ準備しか出来てないけどな。」


…月架がそんなことをしてくれてたんだ。だから…朝から…。そっか……嬉しいな。

綺麗に置かれた服を見て何だか心が暖かくなった。

えーっと…。……。何かスカートらしきものが見える。…え、これあたしが…?月架がスカート履くんだよね?



「そこにあるのは全部夢依の服な。」

「…月架、スカートは月架のだよね?」

「アホ!全部夢依のだ!」



ですよねぇ。えー…スカートはあんまり好きじゃない。何かヤダ。寒いし。…あ、でもスパッツ?あるじゃん。よかったならいいや。



「よーし、一回着てくるねー。」

「おーおー行ってこい。」



あたしは月架に買ってもらった服を一式持って、自分の部屋に向かった。…よし、楽しみだ。



さぁ、少女の旅の幕開けはすぐそこに。





(お前が笑うなら、喜ぶならこれぐらいは安いからな。)

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