夢幻を繋ぐ約束

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全身の血が逆流するってこういうこと?凄く体が熱い。何だ、何なんだ。この、存在は。

月架が心配そうにあたしに近づく。大丈夫、と一言いって頭を横に振る。…よし、大丈夫。


そんなあたしたちをよそに、煌希たちの会話は始まっていた。



「てめぇ何勝手に……ソイツと絡んでんだよ…煌希…!」

「っ!お前はさっきの…!」

『…出たぁ。』



…うわぁ。コリンク凄く嫌そうな顔してるし。知り合い、かな?でも何だかそうでもなさそうだし。

っていうか煌希の若干の殺気はなんとかならないのかな。



「ったく…。…煌希、マサラとはここでお別れだ。…行くぞ。早く旅しろ。旅。」

「はぁ?てめぇ自分で連れて来て何を…!」

「とにかく、行くぞ。…邪魔したな。」



…全く話しが読めない。でも煌希がどっかに行くんだなーっていうのはわかった。…あぁ、そうだ。あたし煌希たちと会った時に直感したんだ。これ、渡しとかないと。

直感したこと…それは、煌希が何だかあたしにとって縁のある存在になると思った。



「…ねぇ、煌希。…これ、あげるよ。」

「……は?」

「おい…夢依、何でそれを…。」

「いいじゃん。どうせスペアあるでしょ?」



渡したのはあたしの家のカギ。…またマサラに戻って来たら使えるしね。



「それ、またこっちに来た時使いなよ。」

「…。こっちに来るかわかんねぇぞ?」

「いいの。あんた何かさ、不思議な感じするもん。…雰囲気が違う。…旅、するならあんたの帰って来る場所はここにしなよ。」



基本、他人に興味もたないんだけど…なんでだろうね。煌希は他と雰囲気が違う。それにもっと話してみたいとか思ったんだよねー。

ま、直感ってやつ?



「…おい、煌希。…もう行くぞ。」



さっきまで黙っていたその人は煌希の腕をつかんで……つかんで、あれ?

フッと消えた。

…消える直前、あの人…あたしに何故か視線を寄越してた。…まぁいいや。



「…何だったんだろーね。」

「竜巻みたいだったな…。」



あ、煌希の返事聞いてない。…まぁいいや。帰って来るだろうし。…全部直感だけど。でもあたしの直感は当たるからなー。



「…でもまた会えるよね。きっと。」

「まぁそうだろうな。」



何だか今日は色んなことあったなぁ。…あぁ、そうだ。カギのスペア探さないとなー。あとオムカレーいい加減食べたい。



「…よし、夢依。…言いたいことがたくさんある。早く中に入るぞ。」

「あ。……はい。」



うわ、これ絶対に色々言われるよね。…さらば平穏な今日。あたしはこれからお説教を受けてきます。

ガシッと月架に腕を掴まれて家に連行されながら、ふと思った。



「…旅、かぁ。」



―それもいいかもしれない。





(なーんか煌希たちに惹かれたんだよねぇ。)

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