夢幻を繋ぐ約束

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泣きじゃくっている夢依に抱き締められたまま、ブラッキーは光り始めた。夢依はその光りに気づき、ブラッキーを一旦離した。何故かはわからなかったが、離さなければならないと思ったのだ。

そして光りが収まった時、そこにいたのは…。



「擬人化…。」



ポツリと、夢依の口からもれた言葉。…夢依は無意識に擬人化、という言葉を発した。

そして擬人化したブラッキーが夢依を抱き締める。



「…悪かった、オレのせいで……。」

「ブラッキー……ブラッキーだよね?」

「あぁ。…擬人化、ってわかるか?」



やはり混乱しているらしい。おそるおそる擬人化のことを知っているかどうかを聞いてみる。すると、夢依は口をゆっくり動かし始めた。



「…擬人化、それを出来るポケモンは…ある人物に心を開いた時…。……だったはず。」

「あぁ。…オレもポケモンだ。そして擬人化ができた。…つまり。」



そこで一旦言葉を切ったブラッキーは夢依の顔が見えるようにして、微笑をした。



「…お前の相棒になりたいんだよ。お前に、心惹かれたから。」

「…………え?」



それは、言葉の通りの意味。その言葉を理解した時、本当にその言葉を信じていいのかわからなくなった。

だって、それってあたしと一緒にいてくれるってことでしょう?



「い、いの……?」

「いいんだよ。オレはお前と一緒にいたい。」



そう言ったブラッキーの顔に嘘はなくて。夢依はまたぽろぽろと涙を流した。今度は悲しみじゃなく、嬉しさから。

そして涙を拭うと、ふわりと微笑んでこう告げた。



「…あたしの名前は夢依。よろしくね。」

「あぁ。これから…よろしくな。」



やっと繋がった二人の物語は序章に過ぎない。始まりの物語の続きはまだ先にある。


隠していることもある。だけど、それでも一緒にいて欲しい。



Thank You

(ありがとう、戻ってきてくれて。)

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