夢幻を繋ぐ約束

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―コンッコンッ



初めてここに来た時のように前足でドアをノックする。以前ここに来た時もこのドアをノックするのは気持ちが重かったが、今はまた別の意味で重い。

…もし、アイツが出てこなかったら? 拒絶されたら?


その可能性を否定できなかったブラッキーは少し顔が険しく、暗いものへとなっていた。

一度目のノックで出てこなかった。…もし二度目のノックで出てこなかったら…。



「………。」



悪い想像ばかりが頭をよぎる。しかしブラッキーは頭を振ってその考えを消す。そして、もう一度ノックをしてみる。



(来ない…。)



どうしたらいいだろう。そう思い出した途端、家の中からバタバタッという音が聞こえた。そして、何事だと思っていると…。



―バンッ



そんな音と共にドアが勢いよく開かれた。


驚いたブラッキーが顔を上げるとそこには、自分が会いたいと願っていた少女がそこにいた。

一瞬、静寂に包まれる。


そして先に口を開いたのは夢依だった。



「……ブ、ラッキー…?」



震える声でブラッキーを呼ぶと、何かが切れたようにその場に座り込んだ。



『っ、おい!』



ブラッキーは直ぐ様夢依に近寄り、俯いている顔を覗きこむ。

すると、思いっきり抱きつかれた。一瞬、何がおきたかがわからなくなったブラッキーは硬直するも、夢依の体が震えていることに気づいた。



「よかっ……よかった…戻って来てくれて…。も、会えないかもって…!」



震えているのは、体だけではなかった。声も震えていたのだ。それは泣いていることを示していて…。



『…悪かったな。』



そしてブラッキーの体は光り始めた。

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